子宮頸がん検診で要精密検査って言われた時の話

こんにちは、副院長の石田です。

女性は20歳を迎えると子宮頸がん検診の受診がおすすめされます。病院で検査を受けた場合はその都度担当医から結果について説明があるのであまり混乱しませんが、健康診断の一環として受けたりすると結果だけ送付されてくることも多く分かりにくいかもしれません。それでも「判定:A」とかなってれば安心できますが、読み方も分からないアルファベットの羅列とともに「要精密検査」とか書いてあった日にはがんの検査ということもあってびっくりしてしまう人も少なくありません。実際、当院にもしばしば青い顔で受診される方がいらっしゃいます。そこで本日は子宮がん検診結果の見方について少し解説したいと思います。

細胞の判定につい

子宮頸がん検診は腟内に見えている子宮の出口(子宮腟部〜頸部)をブラシや綿棒で擦って採取した細胞一つひとつの顔つきを見る検査です。結果欄には恐らくNILM、ASC-US、ASC-H、LSIL、HSIL、SCC、AGC、AIS、adenocarcinomaのいずれかが記載されていると思いますが、それがあなたの細胞の判定となります。簡単に言うとNILMは正常、それ以外は全て異常判定となりますが、その中でも扱いが少し違ってきますのでそちらについてさらに説明していきます。

ASC-USか、それ以外か

異常判定の中で言うと、ASC-USに関しては「形がおかしいとも言い切れないけど、かと言って正常とも言いづらいよね」という解釈です。そのため異常結果としてこの判定が出たからといってすぐに慌てる必要はありません。ただ、この結果が出た場合、それに加えて子宮頸がんの原因とされるパピローマウイルスがいるかいないかでリスクが変わってくるため、ASC-USを確認したらウイルス検査を行い次のステップに進む必要があるか判断するのが一般的です。一方でそのほかに関してはがんやその前段階の異形成と言われる病的な状態である疑いがより高い状態になりますので、これらに関しては次の段階としてコルポスコピーという特別な拡大鏡を使用した検査を行うことになります。ではどのくらいまずいのかという話ですが、もちろん異常判定が出ること自体は良いことではないものの、細胞診で異常が出たとしても実際に子宮頸がんになっているかどうかは細胞一つを見ていても分からないことがほとんどです。そのため必要に応じてコルポスコピーで観察しながら怪しいところを小さな塊でちぎってきて詳しく調べますが、実はその検査まで行ったとしても結果的に「これなら慎重に再検査しながら経過観察していけば正常組織に回復していくことも期待できますね」となることの方が多いんですね。なのでまずは落ち着いて(でも放置せずに)最寄りの婦人科を受診することが大切です。

まとめ

というわけで本日は子宮頸がん検診で「要精密検査」と出て焦った時に読むお話でした。子宮頸がん検診で異常判定が出るととても悲しい気持ちになって何も手がつかなくなってしまったり、恐怖も相まって婦人科受診を躊躇ってしまう人がいらっしゃいますが、落ち着いて婦人科に来てね!ってメッセージが伝われば幸いです。