朝練、NCPR編

皆さま、朝はお強い方でしょうか。

最近、家内はウォーキングに励んでおり、長男は持久走が近くなってきたので家の周囲をグルグル走っています。

私は、陣痛の待機者や外来時間外対応がなければ朝の診察前にオンライン英会話をします。

にしじまクリニックでは、救急医療に長けた副院長主催のもと、救急対応を朝活朝練として外来開始前にスタッフと行ってもらっています。体を動かすことで脳に刺激を与える、ということもありますが、何より救急対応を日常、毎日行うことで、体に叩き込む目的があります。

体に叩き込んでおきたい救急対応の一つとして新生児蘇生があります。お産後、赤ちゃんがぐったりしている場合や早産の時は決められた手順に従ってケアおよび蘇生を行います。これはNCPR(Neonatal Cadiopulmonary Resuscitation)と呼ばれ、国際蘇生連絡委員会(ILCOR)で提起された手技手順です。

NCPRは専門コース(Aコース)と一次コース(Bコース)があり、にしじまクリニックでは看護師および助産師、医師は全てこのNCPR Aコースを取得しています。さらに私院長はNCPRのインストラクターを保持しており、当院でNCPRを取得するためのコースを年に数回主催しています。

当院の価値観(企業理念に近いものです)として、『エビデンスに基づいた、親身ある産婦人科医療とサービスを提供する』を掲げています。手技に関しては、誰が行っても技術と統一がはかられ、かつクリニックならではの親近感ある医療およびサービスをこの朝活からでもアップデートしていきます。

クラミジアワクチンの可能性

こんにちは、副院長の石田です。

皆さんはクラミジアという病気をご存知でしょうか?Chlamydia trachomatisという病原菌が原因になる、いわゆる性病です。日本では最も多い性病の一つで平成30年では全国の報告数が25,000件以上でした 1)。男性では尿道炎、女性では頸管炎や子宮内膜炎を起こしますが、オーラルセックスによる咽頭炎も増加しており感染拡大の一因になっています。女性の場合は不妊の原因になったり、出産の時に赤ちゃんに感染すると肺炎や結膜炎の原因となるため特に気をつけなければなりません。

クラミジアは症状が出にくいことも感染を止めるのが難しい要因の一つです。特に女性の子宮頸管炎の場合9割が無症状と言われており、実際には報告件数を遥かに超える感染者が存在していると考えられています。そんなこんなで実は恐ろしいクラミジアですが、このたびThe Lancetという雑誌にワクチン開発に関する論文が掲載されました 2)。

どんなワクチン?

イギリスとデンマークのチームが発表した論文によると、新開発したワクチンを19~45歳の35人の女性に投与したところ注射部位の軽度の痛み以外には明らかな副反応は無く、今回試された2種類のワクチンとも(優劣はあったけど)被験者に免疫がつくことが確認できたそうです。本研究はワクチンの安全性を検証するための治験でしたが、今後は大規模臨床試験で効果、安全性ともさらに高いレベルでの評価をしていくそうです。

まとめ

今回は第1相試験なので実用にはまだまだ時間がかかりますが、本当に有効なワクチンができればHPVワクチンのように思春期を迎える前に投与することで性病を予防し、感染拡大を防げるかもしれません。近い未来に当院でも地域の患者さんたちに提供できる日が来ることを心待ちにしたいと思います。

1) 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html

2) Sonya Abraham, et al. Lancet Infect Dis. 2019 Aug 12. Pii: S1473-3099(19)30279-8

タピオカドリンクで腸閉塞

こんにちは。

本日は少し気分を変えて、とあるブームに関するトピックをお話しします。

皆さん、タピオカドリンクはお好きでしょうか。私院長は飲んだことないのですが・・・。一年半前、ベトナム在住の弟が「日本でタピオカブームは再来する!」と宣言していました。どうやら予言は的中したようです。

以下、朝日新聞デジタルのサイトからのニュースです。

https://www.asahi.com/articles/ASM8R6DPHM8RUHBI030.html

ニュースを要約すると、『ベトナムで、とある男性がタピオカの過剰摂取で腸閉塞となり、手術をしました』とのことです(うちの弟の話ではありません)。

怖い話ですね。ただし、あまり人ごとでもないかもしれません。

妊娠中、胃腸の動きは鈍くなります。1)

特に妊娠初期は、ホルモンバランスの変化から便秘傾向が顕著となりますし、消化しにくいタピオカを過剰摂取したら・・。またタピオカドリンクは、キャッサバというイモが主材料なので、イモとしての糖質だけでなく、ミルクティーとしても糖分の摂りすぎは目に見えてますよね。

なお、妊娠中の方々は『偽性腸閉塞』という病態にも注意が必要です。2)

これについてはまた後日お話できればと思います。

1)イラストで学ぶ妊娠・分娩・産褥の生理

2)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjgs/45/3/45_45.326/_pdf

避難所で生活をする赤ちゃんのためのQ&A

台風19号の影響、皆さま大丈夫だったでしょうか。個人的には3.11以来の家族に迫る危険を身にしみて感じました。備えはやはり大事ですね。

私の住まいの地域では避難勧告が発令されました。今回は家にいることを選択しましたが、今4ヶ月の乳児がおり、もし避難所等で生活することになった場合、不安やストレスはいかほどか、想像を絶するものがあります。

『備え』とは、知識を得ることも当てはまるのだと思います。日本未熟児新生児学会が作成したリーフレットを添付しましたので、皆さま是非ともチェックなさってください。

http://plaza.umin.ac.jp/~jspn/shinsai/pdf/qafamily.pdf

被災された方々の一刻も早い復興をお祈り申し上げます。

院長記載

インフルエンザ

こんにちは、副院長の石田です。

先月神奈川県の小学校がインフルエンザの流行により学級閉鎖になりました 1)。冬に流行するイメージが強いインフルエンザがこの時期に?ということで驚かれた方も少なくないと思います。ということで今日はインフルエンザウイルスに関してちょっとお話ししようと思います。

そもそもインフルエンザウイルスとは何なのか

インフルエンザは気道感染を起こすウイルスで、軽い風邪症状程度から重篤な肺炎まで様々な症状を起こします。実はA〜Dまで4種類の型があるのですが、このうち流行シーズンに人間に感染を起こすのはAとBなんですね。A型はウイルス表面に発現しているヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)というタンパク質の種類でさらに細かく分けられます。ヘマグルチニンは18種類、ノイラミニダーゼは11種類あり、その組み合わせでH1N1とかH3N2とか言われます。この組み合わせの多様性がインフルエンザウイルスが変異しやすい要因の一つなんですね。一方でインフルエンザBは系統別に分類されますが、最近の流行を形成しているのはYamagata型とVictoria型です 2)。

インフルエンザの検査と治療

診断は鼻腔粘膜のぬぐい液による迅速キットを使いますが、インフルエンザの季節では特に検査せずに診断してもよいというのが最近は一般的な考え方です。というのも日本では抗インフルエンザ薬が頻繁に処方されるものの、本来インフルエンザは大部分の人達にとってただの風邪と同じであり、症状も自然に軽快するため特別な治療を必要としないという背景があります。ただし、妊婦さんや高齢者の方、その他持病などで抵抗力が弱っている方に関してはしっかりと検査、治療が必要になります。

実は暑いところで結構流行る

インフルエンザウイルスは湿度と気温が低いとウイルス活性が高くなることが知られておりそれが冬の流行という形で出ているのですが、実は暑いところだと年間を通して患者さんが出ています。私が月1回働いているカンボジアでもインフルエンザはよく診ますが、日本国内でも沖縄は時期に関係なく感染するそうです。クーラーが普及したのが原因だとか、熱帯には途上国が多く栄養状態が悪いことが原因だとか諸説立てられては色々と研究されているようですがどの説も結局立証されていないということでした 3)。

まとめ

ということで簡単でしたが今回はインフルエンザウイルスに関するお話でした。特に妊婦さんは免疫が落ちているため重症化のハイリスクと言われており注意が必要です。予防には手洗い、うがい、マスクがとても効果的ですが、それに加えて予防接種はガイドライン上もお勧めされていますので是非受けるようにしてください。当院でも妊婦さんをメインに接種を開始しておりますので希望される方はお声掛けください。ちなみにワクチンは鶏卵を使用して製造されるため卵アレルギーだと打てないと思っている人が結構いますが、実は関係なく打てます。唯一の禁忌はワクチン自体にアレルギーが出たことがある患者さんとなっていますので、もし重篤な卵アレルギーがあったとしても問題なく接種しましょうというのが今のスタンダードですのでご安心ください 4)5)。ところで暑い場所でも患者さんが多いこと、ここ数年異常気象がどうとか言われていること、神奈川でこの時期に学級閉鎖などがあるとインフルエンザの今後の流行がひょっとしたら温暖化とかに影響されるのかな?とか考えてしまいますね。今後さらなる研究が進むことを期待したいと思います。

1) https://www.kanaloco.jp/article/entry-194678.html

2) Samei W. Bolt or, et al. In: Stat Pearls. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2019 Jan-

3) Cecile Viboud, et al. PLoS Med. 2006 Apr; 3(4): e89

4) CDC Flu Vaccine and People with Egg Allergies. https://www.cdc.gov/flu/prevent/egg-allergies.htm#algorithm

5) Greenhawt MJ. Pediatr Ann 2013 Jul; 42(7): 122-7

妊娠中に温泉に行っても良いのか

こんにちは、副院長の石田です。

行っても良いです。と言い切ってしまうとそれで終わりなのですが、これに関しては外来で定番のご質問です。恐らくイメージとしては温泉の成分が体に染み込むことで赤ちゃんに届いて問題を起こす的なご心配かと思います。ちなみに不安を煽りたいわけじゃないけど哺乳類の実験で母体の高体温は赤ちゃんの奇形の原因になる可能性は示唆されています 1)。まぁ、深部体温が温泉ごときで急激に上昇するわけはないので関係ありませんが。

いずれにしても「ネットでも大丈夫って書いてあったけど心配だし一応医者に聞いておこう」という人が多いのではないかと思いましたが、中々外来では時間的にも詳しくご説明できないので、ちょっとブログで書いてみることにしました。

温泉が妊娠に悪いという科学的根拠はない

これ、調べた範囲では国内外で温泉の妊娠に対する悪影響を証明した論文はありませんでした。昔は「温泉法」という法律で妊娠は温泉への入浴に対して禁忌として扱われていましたが、科学的根拠がないという理由で平成26年の改訂の際に撤廃されました。というか、色々と調べてみましたが、そもそもなんで温泉が妊娠に対して禁忌になったのか誰も知らないらしいです…。ちなみに「温泉とかサウナは赤ちゃんに影響ないから安心して」っていう論文はシドニー大学のチームから発表されてました 2)。

そうは言っても気をつけた方が良いこともある

まず、妊婦さんはお腹が大きくなるにつれて体の重心の位置が変わっています。そのため思いがけず転倒するリスクが無いわけではありません。泉質や浴場の材質によっては床が滑りやすくなっていることもありますので転んで怪我をしたりお腹を打ったりしないように気を付けましょう。また、経験的に何人かの妊婦さんが強い泉質のお湯に入って肌荒れを起こしてしまったのを診察したことがあります。事前に自分と温泉との相性を調べることは難しいですが、妊娠すると肌が荒れやすくなる人もいらっしゃいますので異常を感じたらすぐに水道のお湯で体を流し、入浴を中止するようにしてください。

温泉は直接関係ないけど…

地元の温泉に行かれる人はまだ良いのですが、ちょっと足を伸ばして温泉旅行という場合には出血や腹痛など何か良くないイベントが起きた際にかかりつけの医療機関を簡単に受診できなくなります。なので絶対ダメというわけではないけれど、旅行のリスクをよくご理解いただいたうえで、万が一の時に受診できる医療機関が近辺にあるかどうかを確認してから出かけましょう。

日本人は昔から温泉が大好きです。「温泉離れ」なんてことも言われますが、年間の延べ宿泊利用者数は最新のデータで1億3000万人以上です 3)。 温泉に行かれる方は体調管理やいざという時の備えに十分注意しながら快適な温泉ライフをお楽しみください。

1) Edwards MJ. Terato Carcinogen Mutagen 1986: 6(6): 563-82

2) Ravanelli N, et al. Br J Sports Med. 2019 Jul; 53(13): 799-805

3) https://www.onsen-r.co.jp/data/cs/

がん検診

10月に入りました。

本日はがん検診で受診される方が多かったです。子宮頸がん検診の無料クーポン券が使える方々の対象が11月までなので、秋の始まりとともに、外来でも「このような時期に入ってきたな」とも感じます(あとインフルエンザ、もそろそろでしょうか)。なかでも、がん検診としてだけでなく、当院でお産をされ、大きくなったお子様を見せに来ていただく方も多くいらっしゃり、大変嬉しいかぎりです。ある方は体調により、大きい周産期施設でお産をされたのですが、わざわざお子様を見せに来ていただきました。

私自身、前院長(顧問)の手伝いを、にしじまクリニックで始めてから約5年が経ちます。このような出来事は励みになりますし、皆さまの健康をより支えていきたい、と思いが強まります。

話は戻り、無料クーポン券をお持ちの方、11月までになりますので、お早目の受診をお勧めします。

以下、富士見市の健診(検診)サービスのサイトもご参照ください。

https://www.city.fujimi.saitama.jp/kenko_fukushi_iryo/02kenkou/kenshin/2010-0510-1902-136.html

院長記載

私はよくTOKYO FMを聞きます。TOKYO FMがキャンペーンとして行っている、子宮頸がん予防のための”Hellosmile”プロジェクトをご存知でしょうか。私はこの考えに賛同しています。

子宮頸がんワクチンがなかなか普及しない日本だからこそ、がん検診は本当に大切です。

無料クーポン券の対象でない方でも、保険診療の適応となる場合がありますので、是非ともお問い合わせ及びご来院をお待ちしております。