どの医師も「産婦人科ファーストタッチ」ができるように

昨年、株式会社じほう から私院長と副院長石田が執筆した「産婦人科ファーストタッチ」が発売されました。本書は研修医や総合診療医をターゲットした、いわゆるレジデントマニュアルです。

https://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/54453/Default.aspx

私が国境なき医師団、石田がジャパンハートに所属していた経緯があり、クリニックの医師としてはめずらしく国際医療支援を行っていた医師二人がタッグを組み、にしじまクリニックは富士見市のみならず埼玉県の周産期医療および婦人科医療を提供しています。

日本でのガイドラインを遵守し診療を行うのはもちろんのこと、海外で学んできた経験から、先日当院でも導入したメフィーゴ®︎パックなど、一早く海外で主流の診療および治療を導入できるのことが当院の一つの強みです。

私は国境なき医師団の産婦人科医として、ナイジェリアに派遣され産科救急医療の携わりました。当時、上級医は「ここの産科医療は20年遅れている」と言っていました。医療機器でいえば分娩中の胎児監視としてCTG(胎児心拍数陣痛図)がない、オキシトシンの流量調節を行うための輸液ポンプがない、高価で壊れやすい経腟超音波がない、など、物資が限られているなか工夫した診療を行う必要がありました。

一方で、分娩誘発においてミソプロストールを用いるプロトコルがあったり、衛生環境などの点からMVA(真空吸引法)が採用されていたり、日本でも早く導入されると良いな、と思うことも多々ありました。

日本でまだ馴染みがない診療および治療を学ぶため、バイブルとして熟読したのが国境なき医師団の産科・新生児科ガイドラインでした。

https://medicalguidelines.msf.org/en

このガイドラインに日本のガイドラインを照らし合わせ、そして私と石田の経験を掛け合わせ作成された本、それが「産婦人科ファーストタッチ」なのです。

「産婦人科ファーストタッチ」は「監修のことば」どおり、まだ第1刷目であり成長途中です。今後産婦人科専門医でなくてもどの医師も本書を参照して産婦人科患者をファーストタッチできるよう、また研修医が産婦人科ひいては海外医療支援に志してもらえるよう、第2刷目以降も本書を発行できれば幸いです。そして私自身もevidenceとexperienceを積み重ね、産婦人科に関わる全ての方々に貢献できればとの思いで日々努力してまいります。

クリニックで働いていても本書のようなレジデントマニュアルを作れる、というもう一つの当院の強みを生んでくれた副院長石田先生、新潟市民病院 産科部長 倉林先生、株式会社じほう様、そして今まで私と関わり合いのある患者様および医療関係者様に感謝申し上げます。

にしじまクリニック院長 西島翔太

産婦人科ファーストタッチ訂正情報は以下リンクをご参照ください。

https://www.jiho.co.jp/Portals/0/data0/guide/teisei/54453teisei_2.pdf