新型コロナウイルスにかかったら

私達はもうしばらく、新型コロナウイルス感染症とそれに関わる生活に付き合っていかなければなりません。

誰もが感染する可能性はまだあるのです。

今回は、にしじまクリニックで健診を受けている妊婦さんがもし今後新型コロナウイルス感染症にかかったら、また濃厚接触者になったら、のお話をさせてもらいます。

①【重要】新型コロナウイルス感染症と診断されたら、当院へ電話にてご連絡ください。

また濃厚接触者と判断された方も同様、必ず当院へご連絡ください

*新型コロナウイルス感染症だけでなく、37.5度以上の発熱や感冒症状がある場合、来院を希望する方は事前に当院へご連絡ください。診察予定時間等の調整を致します。

②管轄保健所へ届出が済んでいるかの確認など、当院でも各機関へ連絡調整をさせてもらいます。

③自宅療養の場合、1日2回、体調の状況を伺うため電話またはオンライン診療にて当院からの連絡があります。

④入院療養が必要だと思われる場合を以下に載せておきます。

□息苦しさが1時間に2回以上

□トイレに行く時に息苦しい

□心拍数が1分間に110回以上

□呼吸数が1分間に20回以上

□安静でも酸素飽和度が94%以下で回復しない

⑤出血、破水感、頻回の子宮収縮、胎動が少ない時はすぐに当院へご連絡ください。診察予定時間等の調整を行った後、まずは当院で診察を行います。

上記④以外に、切迫早産などのため入院が必要と判断した場合は保健所と県調整本部へ当院から連絡を行い、入院の調整を行ってもらいます。

埼玉県産婦人科医会では安心して妊娠・分娩に対応できるよう『COVID-19対応産科リエゾンシステム』が9月から稼働しています。入院が必要な場合はが連絡調整がスムーズにいくよう、産科的相談役として担当医療機関(主に周産期センター)が毎日割り振られています。

(院長執筆)

コロナワクチン接種が不安な妊婦さんへ(6月21日時点)

・妊婦は新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)のワクチンを接種しても大丈夫なのか

海外からの経験と情報から、現在日本でおかれた状況を鑑みると、ワクチンを接種することのメリットはデメリットを上回ると考えられています。一般の方と比較しても副反応に差はなく、流産や早産などの危険性は自然発生率と差がないという報告もあります。

日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会は、「感染の多い地域や感染のリスクが高い職場、糖尿病・高血圧・気管支喘息などの基礎疾患を合併している方はぜひ接種をご検討ください」と声明を発表しています。

また妊娠中や授乳中の方々のみならず、妊娠を計画中の方々の接種も「問題ない」と見解が上記学会らからの声明が6月17日にありました。今後、妊娠の確認の初診時に「もう既にワクチン1回目接種したのですが」という質問を多くいただくことが予想されますが、その際は予定どおり2回目を接種して構いません。

しかしながら妊娠週数や社会的背景などからワクチンに対する考え方は人それぞれです。にしじまクリニックではそのようなご心配な方に対し個別で外来またはオンライン診療でご相談をさせていただいております。

・コロナワクチン接種前に確認すべきこと

健診・外来の時に、ワクチン接種前に医師へ確認しましょう。

接種の予診票には「現在妊娠している可能性はありますか、または授乳中ですか」という質問項目がありますので、「はい」をチェックし、接種会場の医師にも伝えてください。

・副反応について

一般の方と妊婦さんとの差はありません。

接種後発熱や頭痛があった場合はアセトアミノフェンの内服をお考えください。

・里帰り先など住民票と異なる居住地で接種を受ける場合

住所地外接種届の提出は不要です。

・その他のワクチン接種との間隔

まず、現時点では他ワクチン(産婦人科領域では風疹ワクチンやHPVワクチン、インフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチンなど)と同時接種はできません。新型コロナウイルスワクチンを接種した2週間後は他のワクチン接種の投与が可能となります。

(院長執筆)

コロナワクチン接種が不安な方へ(6月7日時点)

私達医療従事者のみならず、いよいよ一般の方々も新型コロナワクチン接種の機会が迫ってきています。そこで本日以下の内容を記載することにしました。

にしじまクリニックに来院される方で、コロナワクチンの接種に対して質問があるのは

・妊婦さん

・ピル内服中

の方々が大半を占めます。

まず妊婦さんのコロナワクチン接種についてです。厚生労働省のホームページでは、「感染リスクの高い妊婦は積極的に接種を推奨する」と明記されています。

・感染者が多い地域に在住

・医療従事者、保健介護従事者

・重症化リスク(肥満、糖尿病など)がある

方々が適応とされています。

また私院長は、感染リスクという観点から上記のみならずエッセンシャルワーカーや里帰り分娩予定の方々も接種が望ましいと考えています。

以下、厚生労働省のホームページをリンクさせておきます(よくまとまっていると思います)。

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html

ただし、器官形成期である妊娠12週までは念のためコロナワクチンの接種時期をずらした方がよろしいかと思います。

続いて、低容量ピルを内服している方で血栓症が心配、という訴えも多く聞かれます。

今一度お考えいただければ思いますが、低容量ピル内服中の血栓症のリスクより、妊娠に契機とした血栓症のリスクがずっと高いのです。

先ほど申し上げたとおり厚生労働省、日本産科婦人科学会、日本感染症学会らが「妊婦のワクチン接種は可能」としている時点で、婦人科におけるピル内服中の方らも現時点ではワクチン接種は問題ないと考えます。

静脈血栓塞栓症(VTE: Venous ThromboEmbolism)の発症頻度はACOG(American College of Obstetricians and Gynecologists)によれば

妊婦は5〜20/10000婦人/年間

であります。一方低容量ピル使用者の静脈血栓塞栓症の発症頻度は3〜9/10000婦人/年間程度なのです1)。

また私の雑感ですが、ピル大国の欧米で、ピル内服中の方らがわざわざ内服を中止して新型コロナワクチンを接種しているとは考えにくいです。

ただし、コロナワクチン接種の際には問診表にピルの内服をしていることを記載し、問診でも必ず申告するようお願いします。

以上となりますが、それでもコロナワクチン接種を打ってもよいのか心配、というお問い合わせが今後予想されます。申し訳ありませんが、当院では電話でのご相談は安全上の観点からお断りします。当院ではHPVワクチンも含め、ご相談を対面で行っております。お手数ですが外来を予約していただくか、またはオンライン診療を予約していただき、個別対応させていただきます。

参考文献

1) CQ501. OC・LEPガイドライン

新型コロナウイルスのワクチンはmRNAワクチン

日本で医療従事者から接種が始まったファイザー製の新型コロナウイルスに対するワクチンは、『mRNAワクチン』というこれまでになかった全く新しいタイプのワクチンです。

これまで私たちが接種を経験してきたワクチンはウイルスの一部のタンパク質を投与し、それに対して免疫を得る仕組みでした。

新型コロナウイルスは、表面に多数のブロッコリーが突き刺さった様な形をしています。このブロッコリーに当たるものは『スパイク蛋白』といい、新型コロナウイルスが人体の細胞に侵入するための蛋白質です。ワクチンで利用するmRNAとはこのスパイク蛋白の情報の一部でいわば「設計図」にあたります。

よってmRNAワクチンは、スパイク蛋白の情報の一部であるmRNAを投与しているのです。ワクチン投与後、細胞内ででスパイク蛋白のみが作られ、これを目印に免疫の働きによって新型コロナウイルスに対応する抗体が作られます。

mRNAワクチンは新しい技術のため、なかには将来身体への影響を懸念する方もいらっしゃるかもしれませんが、その心配はいりません。細胞の核内にあるDNAからmRNAが作られる流れはありますが、この流れは一方通行で、逆にmRNAからはDNAは作ることはできません。またmRNAは核内に入ることができません。よってこのmRNAは人の遺伝情報(DNA)に組み込まれることはありません。

参考文献

新型コロナワクチンについて. 国立国際医療研究センター病院ホームページ

産後にスルピリド

スルピリド(ドグマチール®︎)は本来、胃潰瘍の治療薬として開発され、1979年から発売されている薬です。また、ジェネリック品が数多く発売されています。評判の良い薬ほど、ジェネリック品が多く出回りますから、ドグマチールは良い薬の1つといえます。

やや多めの量を用いると、気分が晴れず落ち込んだり、悲観的になったり、眠れないなどのうつ症状を癒すことも可能なお薬です。スルピリドはノルアドレナリンの放出を促進するため、脳の活動をよくして、気持ちが前向きになるのを助けてくれます。いわゆる、「抗精神病薬」としては作用が穏やかで、軽いうつ病などにも使われます。

ドグマチールの副効果として、プロラクチンというホルモンの上昇により、乳汁分泌が起こります。これを利用して、母乳分泌不全の授乳婦に母乳分泌促進薬としても用いることができます。なお乳児への有害事象の報告はありません1)。

副作用としては不眠(用量による)、眠気、めまい、口の渇き、吐き気、便秘などがみられることがあります。なお眠気については、注意力や反射運動能力が低下することがありますので、車の運転などはお控えください。

新型コロナウイルスの影響で文字通り『social distancing』の影響から産後うつ病が増えているといわれています。にしじまクリニックでは産後診で『CUS(心配・不安・安全の問題)』を取り込んだ問診や、エジンバラ産後うつ病評価票のご記入で医療・行政を含めた継続的支援体制の構築を行なっています。私院長を含め、外来医療スタッフへ

心配(Concerned)・不安(Uncomfortable)なことがあり、ご本人にとって安全の問題(Safety issue)があれば

早めにご相談ください。その解決策の一つとして、スルピリド(ドグマチール®︎)に頼ってもよいかもしれません。

参考書;

1) 妊娠と授乳

2) 今日の治療薬