繰り返す流産について

こんにちは、副院長の石田です。

在胎22週未満で胎児心拍が停止してしまう、あるいは胎児が娩出されてしまうなどの理由で妊娠が終わってしまうことを流産と言います。診察で確認された正常妊娠のうち概ね15%程度が流産になると言われていますが、2.6〜5.0%の確率で2回連続する反復流産や、0.7〜1.0%の確率で3回以上連続する習慣流産となることがあります。ただでさえつらい流産を複数回経験するのは本当に悲しいことですが、本日はこのことについてガイドラインに沿って解説したいと思います 1)。

流産を繰り返してしまう原因

国際的に明確な定義はありませんが、日本では流産または死産を2回以上経験した状態を不育症と呼びます。最も重要な流産リスクは加齢とされていますが、それ以外の原因としては子宮奇形や子宮筋腫・腺筋症などの子宮因子、抗リン脂質抗体に代表される自己免疫疾患、甲状腺機能異常症などの内分泌疾患、そして夫婦の隠れた染色体異常などがよく挙げられます。その一方で半分近くの患者さんで原因不明というデータもあり対応は決して簡単ではありません 2)。いずれにしても複数回の流産を主訴に受診された患者さんにはこれらの異常を念頭に検査を行っていくことになります。「夫婦の隠れた染色体異常」というのが分かりづらいかもしれませんが、染色体異常には「均衡型」と言って保有していても症状が出ないものがあります。具体的には相互転座やロバートソン転座などですが、これが男性か女性のどちらか(あるいは両方)にあると受精卵の染色体異常はより深刻なものとなり、流産のリスクが上昇すると考えられています。しかし夫婦の染色体検査は値段が高い割に必ずしも頻繁に異常が見つかるわけでもなく決してコスパの良い検査ではないこと、仮に異常が見つかっても治療法が存在しないため当人に責任を感じさせるだけになってしまう可能性があることなどから、検査前には患者さんと医療者が検査の意義について十分に話し合っておくことが重要です。

不育症の治療

原因と思われる疾患が見つかった場合には可能な範囲でそれに沿った治療を行っていくことになりますが、原因不明の際に有効とされる治療ははっきりしていません。しかしその一方で流産を5回経験している患者さんでも50%以上の人が最終的に無治療で赤ちゃんを授かれるというデータもあり、必ずしも悲観的になり過ぎる必要はないようです。

まとめ

というわけで本日は流産を繰り返してしまう患者さんの対処法についてご説明しました。一般的には2〜3回流産を経験した場合には不育症専門の施設へご紹介することが多いと思いますが、必ずしも統一した基準はないためその都度医療者と患者さんでよく話し合って対応していく形になります。もし「自分たちは流産を繰り返しているけどどうかな?」と思う方は一度最寄りの産婦人科に相談してみるといいかもしれません。

1) 日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会 産婦人科診療ガイドライン 産科編2023 CQ204
2) Abramson J, et al. Thyroid. 2001;11(1):57