リトドリン塩酸塩の内服方法と副作用

今回は、切迫流早産時に用いられるリトドリン塩酸塩(以下、リトドリン)についてです。

・処方の適応:妊娠16週から36週までとなります。

よって妊娠15 週以内の切迫流産に用いることはできず、それでも子宮収縮の抑制をはかりたい場合は別の薬を処方することになります。

・薬理学機序:リトドリンは子宮筋選択性のβ2刺激薬です。

子宮収縮を抑制をするほか、β2刺激薬であるため動悸を自覚される方も少なくありません。

・内服方法:内服薬は1錠5mg、原則1日3錠(計15mg/日)です。

子宮収縮の時間帯や状態によっては1日4回の内服を指示することもありますが、上記の動悸などを考慮し、4時間の間隔をあけて内服するとよいでしょう。

・効果:妊娠24週から37週未満の切迫早産118例を対象としたランダム化比較試験では、1日3回内服、14日間の内服で切迫早産に対する有用性が確認されています。

・特に注意すべき副作用:横紋筋融解症、汎血球減少、血清カリウム値低下、高血糖らがあります。

高血糖の懸念から妊娠糖尿病においては原則、リトドリンを用いることはできません。

長期内服の場合は副作用対策にて定期的な経過観察が必要です。特に入院管理でリトドリンの注射薬を用いる場合は定期的な採血を行い、

白血球の減少、血小板の減少、肝機能障害などがないか、を確認します。

院長執筆

参考資料;

今日の治療薬

早産のすべて. メジカルビュー社