子供と家族で楽しめる室内ボードゲーム3選

こんにちは、副院長の石田です。

物価は高騰、気温も上昇となれば、夏休みに子どもを外に連れ出すのも一苦労ですよね。熱中症の心配もあるこの時期、涼しい室内で家族みんなで楽しめるボードゲームはまさに救世主です。そこで今回は、我が家でも人気のある「小さな子どもから大人まで家族で楽しめるボードゲーム」をいくつかご紹介します。遊びながら笑いあって時には真剣勝負、そんな時間が家族の思い出にきっとなってくれるはずです。
(参考までに各見出しをECサイトのリンクにしていますが、購入に際しては出荷元の判断を含めてご自身の責任でお願いいたします。)

ねことねずみの大レース(Viva Topo!

このゲームはねずみたちがチーズを求めて大冒険する、シンプルだけど奥深いすごろく型のゲームです。自分のねずみをボード上で進めながらできるだけ多くのチーズを集めることを目指します。近場のゴールを選べば小さなチーズしか確保できませんが、大きなチーズを狙って遠くを目指すとねこがどんどん迫ってきて食べられてしまうというスリルもあり、子どもも大人も夢中になれる絶妙なバランスが魅力です。「リスクを取るか、安全を取るか」という選択の繰り返しは人生にも通じるところがあります。2003年のドイツ年間キッズゲーム大賞(Kinderpiel des Jahres)を受賞した本作は、3歳ごろから十分に楽しめるので運と戦略の入門編としてもおすすめですし、箱の柄も可愛らしいためインテリアとしても抜群です。

KLACK!

こちらもViva Topo!と同様にドイツ製で、2つのサイコロを振って出た色と柄に合ったタイルを素早く探して取る、スピード勝負のゲームです。シンプルなルールながら、色と形の認識、瞬時の判断力、そして手の素早さが求められます。最大の特徴はタイルの内部に仕込まれた磁石により「カチッ」と吸い付くように重なっていく気持ちよい取り心地で、子どもはもちろん大人もクセになる感触です。スピード感があるので短時間で何度も遊べるのも魅力です。慣れてきたらもう少し難易度の高い「おばけキャッチ」にも挑戦してみてください。

YUBIBO

「YUBIBO」は、日本のボードゲームシーンを牽引するJelly Jelly Gamesが開発した協力型バランスゲームです。山札のカードを順番にめくり、出た指示通りにプレーヤー同士の指を棒でつないでいきます。全員の指と棒でネットワークを組み、すべての棒を落とさずに繋げられたらクリアです。勝ち負けがないためケンカになりにくく、家族みんなが自然と協力し合う雰囲気になるのが魅力です。言葉でのやりとりや相手の動きをよく見る力が自然と鍛えられますし、ゲーム後にはちょっとした一体感が生まれるかもしれません。家族の絆を深めたい方に是非おすすめしたい一作です。

まとめ

というわけで本日は、家族みんなで楽しめるボードゲームをご紹介してみました。気づけば産婦人科とはあまり関係なさそうな話題になってしまいましたが、赤ちゃんの誕生という家族のスタートラインに日々立ち会わせていただいている身としては、その子たちがすくすく育って家族と笑い合える時間をたくさん持ってくれたらという願いを込めて(案件ではないので当院の収益には1ミリも関係ありませんが)記事にしてみました。
ボードゲームは単なる暇つぶしではありません。親子で笑い合いながら楽しめるだけでなく、子どもの判断力・反射神経・空間認識力など、さまざまな能力を引き出すきっかけになります。さらに、会話の中で自然とコミュニケーションも生まれ、家族の関係もぐっと近くなること間違いありません。また、電気もネットも使わないアナログゲームは、災害時などの非常時にも大活躍します。いざという時の心の支えとしても、ボードゲームは大きな力を持っていますので、この夏に是非ご家庭にぴったりの「お気に入りの一作」を探してみてください。

陣痛を促す食べ物

こんにちは、副院長の石田です。

出産予定日が近づくと、「そろそろ陣痛が来てほしいな」と思う方も多いのではないでしょうか。特に臨月に入ると、軽い運動をしたりストレッチを取り入れたりして自然なかたちでお産を進めやすくしようと意識する方が増えてきます。そうした“お産の準備”の中で、よく話題になるのが「食べ物による陣痛促進」ですが、「〇〇を食べるといいらしい」「△△が効くらしい」など、巷にはさまざまな情報が飛び交っています。実はこうした食べ物に関する言い伝えや習慣は、日本だけでなく世界各国にも存在しています。それぞれの地域で長年伝えられてきたものもあれば最近になって話題になった“都市伝説”のようなものまでさまざまありますが、今回はそんな「陣痛を促す」とされる世界の食べ物を、その由来や科学的根拠とあわせてご紹介したいと思います。

一応データがある果物:デーツ

「陣痛を促す食べ物」として近年特に注目されているのがデーツ(ナツメヤシの実)です。日本人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、デーツは主に中東地域やアメリカの乾燥地帯で生産されており、古代から人々に親しまれてきました。その歴史は非常に古く、旧約聖書に登場する「生命の樹」のモデルになったとも言われたり、イスラム教の聖典『コーラン』では神が与えた特別な食べ物として描かれており宗教的・文化的にも深い意味を持っています。そして近年ではこのデーツが分娩の進行を助ける可能性があることが研究で示されてきました。具体的には、臨月(妊娠36週以降)から毎日6個のデーツを食べることで子宮口の開きが良くなる、陣痛が自然に始まりやすくなるといった効果が期待できると報告されています 1)。もちろんすべての人に同じ効果があるわけではありませんが、栄養価も高く安全性の高い食品であるデーツは「自然なお産の準備」の一つとして試してみる価値のある果物かもしれません。

そのほかの言い伝えがある食品

ほかにも陣痛を起こす効果が信じられている食べ物はたくさんあります。たとえば、多くの国でよく言われるのが辛い料理です。スパイシーな食事をとると、お腹が刺激されて陣痛が始まるという考えがあります。
また、ラズベリーリーフティーはイギリスや北米を中心に古くから出産準備のお茶として親しまれてきました。ラズベリーの葉を乾燥させたハーブティーですが、子宮の筋肉を収縮させる働きがあるとハーブ医学の間では信じられています。
南国の果物であるパイナップルも陣痛を促す食べ物として知られています。この背景には、パイナップルの果汁や茎に含まれる「ブロメライン」というタンパク質分解酵素が、動物実験等において子宮筋組織に直接投与された際に収縮を促したという報告があるためです 2)3)。ただし、その量をパイナップルで口から摂ろうとするとあり得ないくらいたくさん食べないと無理なようです。
日本では「焼肉を食べると陣痛が来る」という話が知られていますが、一方アメリカでは「ナスのパルメザン焼き(Eggplant Parmesan)」が有名です。特にジョージア州コブ郡にあったScalini’s (スカリーニズ)というイタリアンレストランでは、この料理を食べた妊婦さんがその数時間〜数日後に出産したというエピソードが相次ぎ、「ベビーボード」に300以上の赤ちゃんの写真が飾られるほど話題となりました 4)。

まとめ

デーツ以外の食品に共通するのは、「科学的な裏付けがあるとは言えない」という点です。多くは民間伝承や都市伝説に近いものですが、それでも妊娠後期の貴重な時間を前向きに、楽しみながら過ごすためのちょっとしたスパイス(話題)としてはとても魅力的かもしれません。皆さんももしよければ臨月に入ったら試してみてください。そしてどうなったか教えてください。

参考文献
1) O Al-Kuran et al. J Obstet Gynecol. 2011;31(1):29-31
2) R G Hunter, et al. Am J Obstet Gynecol. 1957 Apr;73(4):875-80.
3) Faezeh Monji, et al. J Ethnopharmacol. 2016 Dec 4:193:21-29.
4) https://www.livingfullonlife.com/?p=1636

出生前コンサルト小児科医について

こんにちは、副院長の石田です。

皆さんは出生前コンサルト小児科医をご存知でしょうか?NIPTを含む出生前診断の医学的な原理や、それらが内包する社会的・倫理的諸問題に精通し、ご家族の不安に寄り添うことができると日本小児科学会により認定された小児科医のことです。NIPTを提供する認証施設ではそのレベルによって出生前コンサルト小児科医が常駐、もしくは連携していることが必須とされており、当院でも外来処置室前に掲げられた認証証にその名前が掲載されています。そこで本日はこの件について少し解説していきたいと思います。

出生前コンサルト小児科医とは

晩婚・晩産化や未婚率の上昇などを背景とした合計特殊出生率の低下を受けてか、NIPTの需要は近年増加傾向にあります。それに伴いNIPTを提供する施設も増えており、以前と比べると希望する妊婦さんとご家族が検査を受けやすい環境になってきています。一方で検査が無秩序に拡大することは「染色体疾患を持つ胎児は中絶の対象である」との考えが固定化する危険をはらんでおり、ひいては染色体疾患を持つ当事者やその家族にとって生きづらい未来に繋がってしまう恐れがあります。しかしそういった風潮に対して意見を述べることは、当事者からすると心ない批判に晒されるリスクを伴うため、彼らの代弁者として染色体疾患をもつ子どもたちの生きる権利を主張するべく設けられたのが出生前コンサルト小児科医の制度なのです。

出生前コンサルト小児科医の役割

出生前コンサルト小児科医は基本的に遺伝カウンセリウングを行いませんし、NIPTを積極的に勧めることもありません。もちろん疾患が胎児に見つかった場合の中絶を真っ向から批判するわけでもありませんが、どちらかというと「中絶をしたくない、産んで育てたい」というご家族を全面的に支援することが彼らの役割です。出生前コンサルト小児科医は染色体疾患を持って生まれてくる子供とそのご家族は決して孤独ではないことをお伝えし、その上でどのように成長していくか、どのようなサポートが得られるかなどといった未来を、出生前検査を受ける・受けないに関わらず具体的にお示しすることができます。

まとめ

ややもすると営利目的で必要以上に出生前診断を患者さんに勧めるインセンティブが働きかねない検査施設において、そうならないように抑制する立場にあるのが出生前コンサルト小児科医であり、彼らと連携することは「常に生命倫理と誠心誠意向き合い続ける」という我々の意思表明でもあります。ご希望の患者さんにおかれましては小児科医との面談も可能ですので、スタッフまでお気軽にご相談ください。

参考文献
・山本俊至. 日医雑誌. 第154巻・第3号 / 2025年6月: 252
日本小児科学会. 出生前コンサルト小児科医

つわり・妊娠悪阻の薬物治療

こんにちは、副院長の石田です。

本日はつわり・妊娠悪阻に対する薬物治療についてお話ししてみたいと思います。

つわりに使われる薬

繰り返しになりますがつわりは飽くまで生理現象なので必ずしも治療しなければいけないわけではありません。また、原理原則で言えば妊娠初期に薬剤を使用することは一定のリスクがあるため避けるに越したことはありませんが、それでも辛いときには患者さんと相談の上で検討されることがあります。日本で使用されることが多いのはメトクロプラミド(プリンペラン®︎)という制吐薬です。ドンペリドン(ナウゼリン®︎)という制吐薬も広く知られていますが、動物実験で骨格や内臓の奇形の原因となることが示されており、妊婦さんへの投与は禁忌となっています。欧米ではオンダンセトロンという抗がん剤の副作用としての嘔吐に対して使用される強力な制吐薬を用いることもありますが、日本では認可されていません。その他ビタミンB6(ピリドキシン)が悪心緩和にエビデンスがあるため処方されることがあります 1)。

つわりに大麻はダメ、絶対。

今まで患者さんから聞かれたことが何回かあるんですが、再度はっきり言っておくと大麻をつわり対策に使ってはいけません。とか言われてもほとんどの人は「石田は急に何の話してんの?」って感じだと思うんですが、実は大麻草から抽出されるカンナビノイドという物質には吐き気止め効果があるんですね。カンナビノイドには葉や花穂を原料とするTHC(テトラヒドロカンナビノール)と茎や種子を原料とするCBD(カンナビジオール)がありますが、日本においてTHCが違法とされる一方でCBDは合法のため、普段からオイルや飲み物として使用されている方もおられます。精神作用や依存性がとても小さいと言われていることから安全に使えるような印象を持っている方も少なくないですが、妊娠中の使用は胎児の神経発達などに悪影響を及ぼす可能性が示唆されており、使用は絶対に避けた方が良いです 2)3)4)5)。

まとめ

ということで本日はお薬によるつわりの治療についてのお話でした。最後は大麻にまで触れましたが、妊娠にまつわるよもやま話として楽しんでいただけると幸いです。上記以外にも漢方や抗ヒスタミン剤、ステロイドなどを使用する方法もありますが、いずれにしても完全にスッキリさせるというわけにはいかないことが多いです。ただ、少しでも楽に過ごせるようになるのは大切なことですので、お困りの妊婦さんは試しに主治医へ相談してみてください。

参考文献
1) ACOG Practice Bulletin No. 189. Obstetric Gynecol. 2018;131:e15-e30
2) Serena Hayer, et al. Obstetric Gynecol Surv. 2023 Jul;78(7):411-428.
3) FDA: What You Should Know About Using Cannabis, Including CBD, When Pregnant or Breasfeeding.
4) ACOG Committee Opinion No. 637. Obstet Gynecol. 2015 Jul;126(1):234-8
5) Government of Canada: Review of cannnabidiol: Report of the Science Advisory Committee on Health Products Containing Cannabis.

つわり・妊娠悪阻に有効な食事法

こんにちは、副院長の石田です。

先日つわりと妊娠悪阻の診断に関するブログを書かせていただきましたが、今回はつわり対策について解説しようと思います。

そもそもつわりは治せるのか

以前の記事でも触れたようにつわりは大多数の妊婦さんが大なり小なり経験します。通常、症状はほとんどの場合で自然軽快し後遺症や合併症などにも関係しないため治療は必要ないとされていますが、一方で生活に支障が出てしまっているような人は積極的に治療が検討されます。特に摂食や飲水に著しく支障をきたしている場合は脱水や脳症の危険があるためビタミン剤を添加した点滴を必要とすることがあります。いずれにせよつわりで苦しいのは「しょうがない」という側面もあるため、治療目標は完治を目指すというよりは、症状の緩和と生命の危険や合併症リスクの低減を目指していく感じになります。

つわり・妊娠悪阻に効果的な食事法

つわりは空腹時と満腹時に症状が強くなる傾向が見られるため、空腹を感じ始める前に食べること、具体的には細かく1〜2時間ごとに軽食をとるという方法が提案されることがあります 1)2)。また、脂っぽかったり甘さや辛さが強い食べものはつわりを悪化させる可能性が示唆されているため、さっぱりとした刺激が少ない食べ物が勧められる傾向があります(欧米ではバナナ, ライス, アップルソース, トーストの頭文字をとってBRAT食と呼ばれる食事が用いられることが多いみたいです)。また、よく言われることですが、嘔気に対してショウガの有効性も示唆されています 3)4)。ショウガとつわりの関係はよく分かっていませんが、一説によるとショウガに含まれるジンゲロールとショウガオールがコリン作動性M3受容体とセロトニン作動性5-HT3受容体を阻害することにより効果を発揮するとされています。摂取方法に決まりは無いようで、料理に入れるほかジンジャーティーとして飲んだり粉末のショウガを飲んだりすることが多いようです。

まとめ

本日はつわりに効果がある食事について解説しました。色々と書きましたがつわりは個人差が大きい病態であり、人によってはむしろ脂っこいものが大丈夫だったりもします。いずれにしてもこの時期はあまり栄養バランスを気にせず食べられるものを食べていただくので十分ですので上記を参考にしながら自分に合う食事を探してみてください。

参考文献
1) V Newman, et al. J Obstet Gynecol Neonatal Nurs. 1993 Nov-Dec;22(6):483-90.
2) Stephan C Bischoff, et al. Auton Neurosci. 2006 Oct 30;129(1-2):22-7.
3) Youchun Hu, et al. J Matern Fetal Neonatal Med. 2022 Jan;35(1):187-196.
4) Estelle Viljoen, et al. Nutr J. 2014 Mar 19:13:20.