47本の異数染色体はダウン症候群だけではない

染色体数が47本なのはダウン症[候群 47,XX(またはXY),+21]や18トリソミー、13トリソミーだけではありません。

以下症例を挙げます。

47,XXY クラインフェルター症候群

・頻度:およそ500〜1000出生男児に1人(推定)

高年妊娠にて羊水検査を行った時に見つかることが多く, 21トリソミー, 18トリソミーに次いで多い染色体異常

・主な臨床症状:比較的高身長、女性化乳房、不妊

・寿命:一般と変わりない

47,XX(またはXY),+mar 過剰マーカー染色体

・頻度:新生児2500人に一人

マーカー染色体とは20番染色体よりも小さい由来不明の染色体です。

(染色体は小さい順から21番<22番<Y染色体<20番<)

由来を同定するには通常の羊水検査の解像度では困難な(過剰マーカー染色体]があるとしかわからない)ため、児の表現型(個体に見られる特徴)に異常があるかどうかは、FISH法やさらに高解像度の検査(マイクロアレイ法)を必要とします。

過剰マーカー染色体は40%が両親由来、60%は新生(de novo)といわれています。

親が均衡型相互転座を持っていれば、児に過剰マーカー染色体が派生する可能性があります。

・主な臨床症状;

(1)過剰マーカー染色体が両親由来:表現型異常(疾患など)は原則ない

(2)de novoの過剰マーカー染色体:30%の確率で表現型異常を伴う

(3)親が均衡型相互転座を持ち過剰マーカーが派生:表現型異常を伴うことを想定する。特に22番染色体由来の過剰マーカー染色体が配偶子として受精すると以下の「エマヌエル症候群」といわれます。

47,XX(またはXY), +der(22)t(11;22) エマヌエル症候群

[tはtranslocation 転座、derはderivative 派生]

上記(3)のように、片親が11番染色体と22番染色体の転座・派生染色体を持つ均衡型保因者であり、

子はそれを受け継ぎ同様の保因者となるか(以下図B)、過剰に派生した22番染色体を持つエマヌエル症候群となります(以下図A)。

出典 http://grj.umin.jp/grj/emanuel.htm

・エマヌエル症候群の主な臨床症状:小頭症や口蓋裂、精神運動発達遅滞、腎奇形、鎖肛など

執筆 院長