出生前検査におけるピアサポート

出生前検査について知りたいことは、初期対応としてNIPT認証施設である当院で相談することができますし、またピアサポーターによる相談も受けることができます。

ピア(peer)は英語で「仲間」を意味します。

・公益財団法人 日本ダウン症協会

・NPO法人 親子の未来を支える会

などがピアサポートを提供している団体になります。出生前検査認証制度のホームページを一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。

ピアサポートをどのような時に利用するかというと、例えば

「超音波検査で異常が見つかり、その後行った羊水検査結果待ちで今後の決断をするための不安と葛藤がある時」などです。ピアサポートの団体から悩まれている同じ疾患を持つ子の家族の紹介を行なってもらい、現状の把握や悩みを打ち明ける場が提供されます。

私たち一次施設、ピアサポーター、自治体らは妊婦さんとパートナーの熟慮のうえでの選択を尊重します。先天性疾患があった場合でも切れ目のない支援があります。周産期においてもグリーフを考慮しなければならない状況があります。流産等で妊娠の中断となっても(選択されても)必要に応じて産前も産後ものサポート事業の利用が可能なことを知っていただけれと思います。

とある病院のピアサポート

執筆 院長

遺伝情報の特徴

出生前検査を含め、遺伝学的検査では4つの特徴があります。そして結果が判明した後、迷われてしまう事もあるかもしれません。

▪️不変性:生涯変化しない

遺伝学的検査の結果は、何度検査を行っても変わりません。一度知ると、知らない状態に戻れません。

▪️予測性:将来の発症を予測できる可能性

いつ起こるかは分からないが、将来の発症に備えて早めの対策を行うことができるかもしれません。一方、数十年経ってもその治療法が未だ確立していない可能性もあります。

▪️共有性:家系で共通の情報を得る

自分の遺伝子を調べる事は、家族の遺伝情報も知る事につながります。その後、ご自身のみで決めることができない事もあるかもしれません。

▪️あいまい性:遺伝情報はあいまいで不確実

前述でも一部内容が重なりますが、

・病的意義の判断は変わる事もある

・病気が発症しても、症状の程度は分からない

事にも注意が必要です。

遺伝学的検査の倫理的・社会的・法的問題

遺伝学的検査においては通常の医療と異なり、

有効性と有害事象が明確区別されず、早期に安全に詳しく診断されること自体が様々な混乱につながり得ます。

遺伝カウンセリングは医療倫理の4原則

自律尊重(Autonomy)

無危害(Non-maleficence)

善行(Beneficence)

正義、公平(Justice)

をベースとして医学的適応、QOL、周囲の状況そしてクライエントの意向をふまえて進めていくよう当院でも心がけてまいります。

執筆 院長

通常の染色体検査とマイクロアレイ検査

羊水検査について、通常の検査とより細かくみる検査があるのをご存知でしょうか。

G分染法(いわゆる通常の羊水検査)←みるターゲットはChromosome(染色体)

・G分染法の”G”は、ギムザ(Giemsa)染色によるもの

実際、G分染法以外にも様々な染色体を分染する方法が存在します。

・5Mbまでの染色体構成を検出できる(それより小さな染色体変化は検出できない)

染色体の大きさはMb(メガベース)で表され、ヒトの染色体は1本あたり数Mb〜100Mbの大きさで構成されています。

羊水中の胎児由来の細胞は、細胞数が少ないので培養を行なってから検査を行います。

染色体マイクロアレイ検査

マイクロアレイ(Microarray)も羊水検査から染色体異常をみる一つです。”array”は「配列」という意味です。

・G分染法より小さいゲノム量の変化がわかる検査

*ゲノム(genome)はGene(遺伝子)と集合を表す「-ome」を組み合わせた言葉です。ヒトが一方の親から受け継ぐ遺伝情報の全体を表します。

マイクロアレイ検査はゲノムにおける変化として塩基の欠失や重複の小さな構造異常を調べることができます。

Mbより一つ単位が小さいkbレベルの検査であり、ターゲットはGene(遺伝子)です。

・DNA配列の違いも検出できるため、特定のホモ接合かヘテロ接合であるか確認できる

マイクロアレイ検査は倍数性の異常や均衡型転座、逆位(コピー数に変化のない)などの構造異常は検出できません(転座や逆位の大きな構造異常は通常のG分染法の羊水検査でわかります)。

通常の羊水検査が「核型分析」(正常核型かどうか)の位置づけです。大抵は21トリソミー等の診断を行うために羊水検査を行うので、いきなりマイクロアレイ検査を行えばよい、というわけではありません。マイクロアレイ検査が加わると、胎児超音波検査で構造異常を認める症例のうちこの二つの羊水検査で約30%の原因が判明されます。

マイクロアレイ検査まで行う必要がある症例は、大学病院等で行われます。

倍数体はSNPアレイで一部解析が可能

執筆 院長

家系図の様式

家系図では両親・子ども・孫などを記載します。

表現型による性別から男性は「□」、女性は「○」、性別不明は「◇」で示し、年齢を性別記号の下に記載します。

原則男性は女性の左に記載し、世代ごとに同様の配置とします。同胞(兄弟姉妹)は出生順に左から右に記載します。

配偶者および同胞の関係は横線で結びます。世代や個人は縦線で示します。近親婚・血族婚(いとこ婚など)の場合は、配偶者間を二重線で結びます。

離婚は配偶者の関係線を途中で「//」で区切ります。

胎児は性別に相当する記号の中(性別不明は「◇」)に「P」と書き込み、在胎週数を性別記号の下に記載します。また染色体数が判明していれば在胎週数の下に記載します。

*罹患胎児の場合、性別記号(「□」, 「○」, 「◇」)を黒で塗りつぶします。

分娩にいたらなかった妊娠(自然流産、子宮外妊娠、中絶)は「△」で示し、妊娠中絶の場合は記号右上より左下に斜線を引きます。

出生後、死亡に至った場合は記号の右上より左下に斜線を引き、死亡年齢を「d.」として記号下に記載します(例: d. 1982, d. 43, d. 4 mo)。

例えば、罹患胎児の自然流産だった場合は「△」を黒で塗りつぶし在胎週数を下に記載します。POC染色体分析で染色体が判明していればさらに下に記載します。

相談者(クライエント)は性別記号左下に「↗︎」を記します。罹患者だった場合は性別記号を黒に塗りつぶします。

発端者(最初に当該家系における遺伝的問題に気づく契機となった人[罹患者])は性別記号下に「P↗︎」を記載します。発端者は罹患者であるので記号は常に黒く塗りつぶされています。

執筆 院長

ヒト受精胚と胎児の位置づけ

みなさんは

出産する前の胎児

受精卵が着床した受精胚

に対して位置づけや権利を考えたことがあるでしょうか。

ヒトの受精胚の位置づけと扱い

現行の日本の法律では、ヒト受精胚は「人」として扱っていません。ただし受精胚が「人」そのものではなくとも尊重されるべき存在であり、単に「物」扱いとして研究材料として扱ってはなりません(自然な考え方だと思います)。

*参照:厚生労働省 総合科学技術会議「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方

胎児の定義(産科婦人科用語集・用語解説集から)

ヒトの場合は妊娠10週から娩出するまでの児を指します。

その前に見える体は「胎芽(たいが)」と呼ばれます。

生存可能な胎児は相続、損害賠償請求権、遺贈の権利認められる

民法では、原則出生してから人権を持つので、出生前の胎児は権利能力は認められませんが、

相続、不法行為に基づく損害賠償請求権、遺贈

の3つについては、例外的に認められます。ただし、死産した場合はこれらの権利は認めれません

また胎児に対する刑事責任は問う事ができません。刑法上は胎児はまだ「人」として扱われないからです。

*胎児の権利に関しては法律事務所や司法書士事務所のホームページから多く記載されています。気になる方は一度検索し閲覧してみてはいかがでしょうか。

執筆 院長