臨月を過ごす時間におすすめの本

こんにちは、副院長の石田です。

以前このブログで臨月の過ごし方について「好きなように過ごしてもらって大丈夫ですよ」という記事を書かせていただきました。

しかし、そうは言っても時間を持て余してしまうご夫婦も多いようで、毎日「どうやって過ごせばいいか悩んでます」という相談を受けます。そこで本日は(別に読むのが妊娠末期である必要は全く無いんですけど)臨月を過ごすのにおすすめの本を実用書と小説から1冊ずつご紹介したいと思います。
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RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる

いよいよ親になるという時期に気になることの一つは子供の教育ではないでしょうか。巷にはスポーツや芸術、語学などできるだけ早くから分野を絞って子供に教育することを勧める言説が溢れていますが、本書は様々なデータや具体例を用いてステレオタイプな早期教育礼賛の危うさを訴えるとともに、浅くても広い「幅」のある知識や経験を子供に与えることこそが社会で成功するためにより強力な武器になるのだと主張しています。内容には賛否があるでしょうが、確かに本業の仕事をする中で昔のバイトの経験や趣味の分野での技術が思わぬ形で活きることってありますよね。VUCAという表現が流行るほど未来予測が難しい社会にあって、子供の将来像を決めてから帰納的に習い事を決めてみても思い通りにいかないことが多いでしょうし、とりあえず色々と経験させてみるという教育手法も十分合理的なのかもしれません。そういう意味では子供の教育に多角的な視点を持つ機会を得るのに参考になる本だと思います。要旨は少しズレるかもですが、様々なことに興味を持って触れておくことの大事さや、専門に特化しすぎることのリスクについては、スティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学卒業式でのスピーチや、武井壮さんの「大人の学校」という企画でのお話が同様に示唆に富む内容かもしれません。これらはいずれもYouTubeで見ることができます。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

筆者のブレイディみかこさんはイギリス人の旦那さんと長男との3人家族です。本書はイギリス社会で生活する中学生の息子さんが身の回りに起こる格差問題や人種差別を通して自分のアイデンティティを模索しながら成長していく姿を、母親目線で描いたノンフィクションの小説です。というと、なんだか重い話を読まされるのかと身構えてしまいそうですが、それらの根が深い問題に正面から突っ込んでいく割には無傷じゃないけど明るく逞しく前進していく彼の姿にスカッと感があるし、さらには親としてあるべき姿や子供を信じて見守ることの大切さ、自分は社会に対してどのように向き合うべきなのかなど、たくさんのことも考えさせてくれる1冊だと思います。かくいう私も小学生の息子が二人いますが、彼らの言動や行動からこれまで多くのことを学んできたことを思うと「この子達が自分を親にしてくれているんだな」と本書を読んだ後に改めて痛感した次第です。世間の評価も極めて高いですが、実際とても面白い本ですので是非手に取ってみてください。ちなみに私はまだ読んでいませんが、続編もあります。

まとめ

というわけで本日は私が読んだことのある本の中から2冊をご紹介させていただきました。どちらもとても有名な本なので、もう読んだよって方もたくさんいらっしゃるかもですね。もし当院かかりつけの患者さんで、他にもご自身のお勧め本があるという方は是非外来で私に教えてください。