昨日(2/6)、日本産科婦人科学会から新型コロナウイルスの予防策についてメールが届きました。このブログではその内容をベースに、他の信頼できるサイトの内容を組み合わせ、新型コロナウイルスについて、妊婦の皆さまの対策の概論を載せることにします。
新型コロナウイルスとは
発熱や上気道症状を引き起こすウイルスで、現状ヒト-ヒト感染が成立している。ヒトに感染するコロナウイルスは、今まで6種類のコロナウイルスが知られており、うち2つ(2002年のSARS[中国]、2012年のMERS[中東])が重症肺炎をきたした。
妊婦への影響
妊婦は妊娠していない方々に比べ免疫力が低め(寛容)のため、感染すると重症化しやすくなる可能性がある。
UpToDate(文献を集約した信頼性の高いガイドラインに近いサイト)のサマリーでは、
『…occurring sporadically or in outbreaks of variable size, and probably also play a role in severe respiratory infections in both children and adults, particularly adults with underlying pulmonary disease and older adults. 』と書かれており、要するに
『子供も大人も重症化肺炎となる可能性があり、とりわけ肺疾患合併の方や妊婦同様免疫力が低めの高齢者がさらにリスクが高い。』
また胎児への影響について、以前流行した別型のコロナウイルス(SARS)から、母親(妊婦)の呼吸器感染症が直接胎児へ影響することは考えにくい。
*しかしながら、他の発熱をきたす感染症同様赤ちゃんの心拍が通常より高く、頻脈が見られるなどの所見は十分に考えられます。
他ウイルス感染症と比べ、感染数はどの程度なのか
新型コロナウイルスは現在流行中で数が増えていくため、WHOが随時レポートを発表している。これによると感染者数は日本のニュースの情報と変わりない。
一方、アメリカでは現在インフルエンザが猛威を奮っており、以下CNN日本サイトである。
https://www.cnn.co.jp/fringe/35148772.html
*あおるつもりはありませんが、インフルエンザもまだ流行期であり、皆さまは引き続きインフルエンザも注意する必要があるのではと考えます。
新型コロナウイルス感染後の症状や増悪度
UpToDateによると、『The illness is characterized primarily by fever, cough, dyspnea, and bilateral infiltrates on chest imaging. Although many of the reported infections are not severe, approximately 20 percent of confirmed patients have had critical illness…』と書かれており、要するに
『感染後発熱、咳、呼吸苦、胸部写真で肺炎様浸潤影が見られる。20%の患者が重症化し、致死率は3%未満とされている。なおそのような患者は既に合併症を持っている方々がほとんどである。』
皆さまが行える予防法
一般的な衛生対策をお願いします。要するに手洗いうがいや咳エチケットです。インフルエンザ流行期に皆さんが意識するものと同じでよいと思います。感染拡大を防ぐために、皆さま一人ひとりの意識付けが何より大事です。
にしじまクリニックが行う対策
・診察室など、消毒の機会を増やす。ほぼ全てのウイルスは次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンなど)での消毒や拭き取りで対応が可能
・医師会や学会や海外組織(WHO)などの情報を適宜把握し対処する
*今回の新型コロナウイルスについて、インフルエンザウイルスと違うのは抗ウイルス薬が現時点ですぐ扱えない(HIVやエボラウイルスに対する薬剤を応用する話が出ています)ことです。他の感染症との鑑別や早期発見のため、知識の共有や院内の導線対策などを適宜進めてまいります。
参考)
日本産科婦人科学会ホームページ
UpToDate
厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
2020年2月7日初稿(今後順次加筆する可能性があります) 院長