経会陰超音波によるProgression angle

ブログでも何度も繰り返して言っていますが、分娩での内診評価を正確に表すこと、この事は大事なことです。

急速墜娩、いわば赤ちゃんを早急に娩出しなければならない状態の時に吸引および鉗子分娩か、帝王切開か、内診の状態が判断材料の一つとなるからです。

特に児頭下降評価は解剖学的に、また空間認知ともに把握してないと経験に頼ってしまう医師および助産師がいるのも事実です。そこで当院では児頭下降を客観的に評価するため、経会陰超音波を利用した『Progression angle(プログレッションアングル)』を測定します。

遷延分娩、いわゆる難産の時に行います。結局のところ経腹超音波を産婦の会陰に当てるだけなのですが、

恥骨の長軸

児頭への接線

が交わる内側の角度、これを『Progression angle』と呼び、

児頭長軸線と児頭先進部の接線が交わる内側角度がProgression angle

この角度が広がると児頭が下降している、ことがわかるのです。

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児頭下降を画像および数値で可視化することで、内診だけを行うよりより正確な評価が行えます。

この方法は簡便であるのに他院であまりなされていないのが実情のようです。より安全な分娩管理のための手法としてProgression angleを一人でも多くの産科医療従事者が行うことを望みます。

(院長執筆)