臨月の「内診グリグリ」について

こんにちは、副院長の石田です。

多くの病院では臨月に入ると毎回の妊婦健診で内診を行い、子宮口の開き具合や赤ちゃんの頭の下降を確認します。その際に皆さんからよく聞かれるのは「内診痛くしますか?」とか「グリグリするんですよね?」といったご質問です。なんとなく陣痛が来るようにそうしてるんだろうなってことは知っていても、安全性や効果などに関してはよく分からなかったりしますよね。そこで本日は俗に言う「内診グリグリ」について説明したいと思います。

何をやっているのか?

グリグリとか言うと闇雲に刺激しているようで乱暴な印象を受けるかもしれませんが、実際には「卵膜剥離」と言って子宮と赤ちゃんを包んでいる卵膜の間に指を入れて数周回しながら剥がす作業を行なっています。(グリグリと言うよりはクルクルって感じでしょうか。)痛いことが多いですが、一方で子宮口がある程度ほぐれて児頭も多少降りてきているような状況では全く痛くなかったということもしばしばあります。

なぜ卵膜剥離をすると陣痛が来やすくなるのか?

卵膜を剥離すると子宮内組織からプロスタグランジンF2αやホスホリパーゼA2などの子宮口の開大や子宮収縮を促すホルモンが放出されます。また、子宮口(子宮頸管)が刺激で伸展するとファーガソン反射という生理現象によってオキシトシンという陣痛ホルモンが分泌されるため、それも陣痛を来やすくする効果があると考えられています 1)。

実際効果はあるのか?

Cochraneというイギリス発祥の国際的な研究組織によるメタ解析によるとグリグリした後には実際に陣痛が来やすくなり、誘発分娩が必要になる確率が下がることが分かっています。一方で安全性についても帝王切開が増えたり母児の死亡率が増えたりということは無く、やられる時の痛み以外には特にリスクなく受けられる処置のようです。また、同論文によるとグリグリされた女性の多くが処置に対して満足しており、友人にも勧めたいと回答しているということでした 2)。

まとめ

本日は世に言う内診グリグリについてご説明しました。私に関しては予定日を過ぎてしまった妊婦さんには誘発分娩にならないで済むようご本人から同意を得たうえで卵膜剥離をすることがありますが、「臨月に入ったから」というだけでグリグリすることはありません。ただ、中には絶対にやらないでほしい方、逆に毎回やってほしい方などお考えも様々かと思いますので、ご希望がある場合には遠慮なくお申し出ください。

1) Blackburn S. Maternal, Fetal, & Neonatal Physiology – A Clinical Perspective. 3rd Edition. Missouri: Saunders Elsevier, 2013
2) Elaine M Finucane, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2020 Feb 27;2(2):CD000451