以前のブログで「感度と特異度」、「尤度比」について説明しました。
これらの因子を全てを含めたものが「陽性的中率」となります。
陽性的中率とは
検査結果が陽性の場合に、実際疾患(病気)を認める確率のことを言います。
陽性的中率=事前確率(有病率)×尤度比
となります。よって陽性的中率は疾患の頻度(事前確率・有病率)によって変化します。すなわち、疾患の可能性が低い対象に検査を行うと、陽性的中率は下がるのです。
例えば、有病率1%の病気Aと有病率50%の病気Bがあったとします。
病気Aと病気Bを調べる検査が、感度と特異度が同じ検査法があったとします。となると、この検査の精度は同じとは言えません。
また、
・疾患Aに対する陽性的中率は10%だから「精度が低い」
・疾患Bに対する陽性的中率は50%だから「精度が高い」
とは言えないのです。なぜなら、先ほど申しあげたとおり陽性的中率は有病率の影響を受けるため、有病率が高いと陽性的中率は上がり、有病率が低いと陽性的中率は下がる性質を持つのです。
では陽性的中率や検査の良し悪しはどうやって判断するのか?
陽性的中率とその他の検査を受けて病気と診断される割合に大きな差がない場合、その検査は有用性が高い検査と言えます。
また、同じ有病率をもつ比較対象であれば、陽性的中率が高い検査の方が有用性が高いとも言えます。
執筆 院長