ミレーナ®︎の産後に挿入する時期について、添付文章の記載を確認しながら考察します。
「産後は子宮の回復を待ってから挿入 、産後6週を目処」は要点を全てクリアしている方に
海外では産後6週を目安に、希望者にミレーナ®︎を挿入する事があります。産後早期に希望される、すなわち避妊目的ですから、この場合は自費請求となります。ただし、
「授乳中は子宮穿孔のリスクがあり」
と添付文章も記載されています。よって当院の対応に関わらず、授乳中はミレーナ®︎の挿入は控えた方がよいでしょう。ミレーナ®︎は黄体ホルモンを放出するので母乳中への移行も報告されています。
穿孔のリスク、という事に関しては帝王切開術後症例は術部(子宮創)の回復を待ってから挿入します。また、
「海外での大規模市販後調査において、授乳をしていない女性のうち、分娩後36週目までにIUDを装着した女性は、分娩後36週目を超えてIUDを装着した女性に比べ子宮穿孔のリスクが高かった」との報告があります。
以上から、産後10ヶ月以降にミレーナ®︎の挿入を考慮するのが無難かと考えます。そして産後10ヶ月以降に月経(生理)が開始していれば
「妊娠初期の装着を防止するために、月経開始後7日目に装着」と添付文章どおりに処置が可能ですが、産後、月経(生理)が再開していない方はこのリスク(新たな妊娠の可能性)もあることを知っておくべきです。
以上から「産後6週のミレーナ®︎挿入」は
・経腟分娩後で悪露の排出が終了し、子宮復古と判断できる
・授乳をしていない
・子宮穿孔のリスクを理解されている
要点を全てクリアした方が適応となります。
ミレーナ®︎希望の方は避妊目的以外に、月経困難症の方(保険適応)もいらっしゃいます。個々に応じて対応をいたしますので、まずは私院長または石田副院長へお声かけください。
執筆 院長