最近、梅毒患者が増加しているというニュースを見聞きすることも多いかと思います。今回は梅毒の所見について説明します。
感染が成立してから3週間程度の潜伏期間を経て、皮膚や粘膜に発疹を認める顕症梅毒のうち第1期梅毒(初期硬結、硬性下疳[hard chancre]:潰瘍)は、女性では小陰唇から大陰唇や子宮頸部などに現れます。口腔性交の場合には口唇にも出現します。
1期の数ヶ月後に発症する第2期梅毒以降は多彩な臨床症状を呈し、
・梅毒バラ疹:手掌をはじめとする上半身に好発する淡紅色の皮疹。一旦自然消退し、数ヶ月経つと丘疹や乾癬が現れます。
・口腔内の乳白斑
・扁平コンジローマ:外陰部できやすい
などから診断されます。
なお1期と2期を合わせて「早期梅毒」と呼ばれます。
女性においては様々な皮疹を呈するので梅毒と気づかない(気づかれない)まま妊娠した場合、児の先天梅毒の危険性があり、最近の流行状況から要注意な感染症と言えるでしょう。
梅毒は採血による血清定性反応から診断もつき、
STS法(RPR)とTPHA法(TP抗体)がともに陽性の場合は梅毒と診断します。
梅毒に対する持続性ペニシリン製剤(ステルイズ®︎)が約1年半前から薬価収載となりました。バイシリンG®︎は顆粒製剤の内服で2週〜1ヶ月以上継続を要するのに対し、ステルイズ®︎は注射製剤なので調整・投与方法が簡便になりました(筋注製剤です)。早期梅毒の場合はステルイズ®︎筋注の単回投与で治療が可能とされています。
文責 院長