妊婦健診での4D画像、特に赤ちゃんのお顔を診察中に共有できることは、産婦さんご家族のみならず、私としても嬉しくなるものです。
しかしながら赤ちゃんは常に動きますし、また胎盤の位置によっては4Dが見えにくいことこともあります。例えば、
顔の目の前に手足があると見えにくい
のです。要は
赤ちゃんの顔面が真上にあり、手足や胎盤が顔の前にない
、これが赤ちゃんのお顔を3D/4Dとしてとらえることができるポイントとなります。ただし、
顔面が真上でなくても、プローブの押し方や位置を少し変えれば斜め〜横顔は確認できる
ことがあります。また4Dを利用して時間軸を巻き戻し、ベストショットをとらえることも心がけています。
しかしながら経腟分娩時、顔面が真上にある状態だとむしろ困ってしまうことがあります。頭位の場合、通常赤ちゃんは顔を下にして恥骨をくぐり抜けるようにして娩出されます。
経腟分娩時に顔面が真上の状態、いわゆる3D/4Dで顔が見える向きであれば
児頭が反屈した状態:前方前頭位(←1)
か
第2回旋が通常と反対:後方後頭位 (←2)
と回旋異常をきたしていることになります。またはいつまで経っても児頭が恥骨をくぐり抜けることなく下降が見られない場合は
児頭骨盤不均衡(←3)
の疑いがあるのです。
これら1, 2, 3の要素は難産の可能性があります。
35〜36週以降になると児頭が骨盤入口面に接することにより顔が見えなくなる(横向きになる)ことがありますが、実はそれは正常な回旋の始まりの準備であり、産婦さんと赤ちゃんにとっては良いことかもしれません。
文責 院長