ゾーニング

皆さんは、食卓・テーブルに宅急便のダンボールを載せますか、それとも床にダンボールを置きますか?

医療現場では医療物品を置く場所や手技を行う区域に気を使います。これらは「ゾーニング」と呼ばれる考え方で対策を行なっています。

ゾーニングとは、感染症の病原体によって汚染されている区域(汚染区域)と、汚染されていない区域(清潔区域)を区分けすることです。医療施設の環境整備においては、ゾーニングを清潔度・清浄度で分け、それぞれ区分けした場所に適合した空調および院内清掃を実施することも意味します。ゾーニングを意識し、区分けを行うことによって病原体に汚染された物品や人の動きを制限し、感染の拡大を防止します。この「ゾーニング」という言葉は、コロナ禍で特に意識されるようになりました。

1:処置台(テーブル)

医療現場での処置台・テーブルは、文字どおり医療器具をセッティングしたり、薬剤を注入したりする場所です。病原体、特に耐性菌が伝搬しないように医療器具とは異なる文房具や私物などは置かず、また台をいつでも消毒・拭き取りやすい状況にしておきます。この場所に床に置いてあった物を載せる事は御法度です。

2:感染対策室

インフルエンザや新型コロナウイルスなど、狭い空間にいると感染のリスクがある場合、部屋を確保する事によって感染拡大を防止します。にしじまクリニックでは入院個室の1つに感染対策室があり、その部屋は陰圧室としての対応が可能です。その部屋を陰圧とする事で、感染物質が部屋の外へ放出されにくくなります。

3:コホート隔離

一般的には同じ感染者同士が同じ場所に留まり、非感染者と一定の距離をおく事を「コホート隔離」と呼びます。感染による発病はまだ起こっていないが、今後発病する可能性がある人に、個室対応が難しい場合この対応がとられる事があります。

3:手術の消毒区域

脊髄くも膜下麻酔(帝王切開の麻酔)や硬膜外麻酔(主に無痛分娩)を行う前に背中を消毒をし、皮膚に付着する常在菌をも消毒する対応を行います。もちろん帝王切開前の腹部消毒も同様の考え方です。それらの部分は清潔区域となり、その後貼付するドレープも含め、手洗い・消毒をし滅菌手袋を着用した者だけがその清潔区域に触れる事ができます。直接触れる滅菌手袋だけでなく、サージカルマスクと個人防護服も着用して個人の菌を持ち込ませないようにする事も大切です。

執筆 院長