赤ちゃんの歯のケアについて

こんにちは、副院長の石田です。

皆さん、普段の歯磨きはきちんとされていますか?虫歯になると痛いし歯医者さんに通わないといけないしで何かと大変ですが、人生100年時代にあって歯の健康はQOL(生活の質)を維持するためにもとても大切です。ちなみに交通事故などの賠償請求額の判例からすると、社会的には歯1本辺り概ね100万円前後の価値と考えられているようでした。歯の数が大人で30本前後なので全部で3000万円と考えると改めて大事にしないとという気にもなるでしょうか?というわけで本日は大切な赤ちゃんの歯のケアについて書いていこうと思います。

虫歯についての基礎的なお話

虫歯は主に歯の表面に付着したミュータンス菌やソブリヌス菌などが食べ物に入っている糖分を酸に変えることで歯を溶かす感染症です。文部科学省の統計によると5歳までに虫歯が見つかった子供は治療後も含めると30%程度に確認されていますが、ある論文によると虫歯は気管支喘息より多い可能性があるともされており、とても他人事ではありません 1)2)。子供の場合は放っておくと痛みなどの症状や歯の喪失から摂食、会話、学習の障害に発展することがあると考えられており注意が必要です 3)。

虫歯のリスク因子

産婦人科のブログということで小さな赤ちゃんでのリスクを挙げると、夜間の授乳、お菓子や甘い飲み物の消費、シロップ薬の長期使用などがあります 4)5)6)7)。また、環境因子で言うと両親に虫歯がある、家庭内に喫煙者がいるなどは子供が虫歯になる確率を上げることで有名です 8)。逆にフッ素塗布を行うと虫歯になりにくくなることから強くお勧めされています 9)。

歯科受診はいつから?

個人差がありますが、歯は生後6〜9ヶ月頃から生え始めるので、日本では概ね1歳を過ぎた頃から歯科受診することがお勧めされます。その後の歯科検診の受診頻度は定まったものが見つからなかったのですが、米国小児科学会によると3歳までは半年おき、その後5歳までは1年おきに受診してフッ素塗布をすることが勧められていました 10)。日本の歯医者さんのホームページを見ると3ヶ月おきの検診をお勧めしているところも多いようです。いずれにしても小さいうちは特に虫歯になりやすいので頻回のチェックが必要なんでしょうね。

まとめ

というわけで簡単ではありますが、子供の歯のケアについて触れてみました。よくよく考えてみれば普通は産婦人科って生後1ヶ月くらいまでしか赤ちゃんのこと診ないのになんだか偉そうに専門外のことを語ってて急に恥ずかしくなってきましたが、せっかく調べて書いたので果敢に記事を公開したいと思います。いずれにしても子供達の歯は傷つきやすく繊細です。お子さんに歯が生え始める頃になったらお近くの小児歯科を調べて受診してみましょう。

1) 文部科学省:令和2年度学校保健統計調査速報:https://www.nichigakushi.or.jp/dentist/material/pdf/toukei_2020.pdf

2) Dye BA, et al. NCHS Data Brief. 2012;(96):1-8

3) Jackson SL, et al. Am J Public Health. 2011;101(10):1900-1906

4) Warren JJ, et al. Community Dent Oral Epidemiol. 2009;37(2):116.

5) Hallonsten AL, et al. Int J Paediatr Dent. 1995;5(3):149

6) Maguire A, et al. Caries Res. 1996;30(1):16

7) P Bahuguna, et al. Eur J Paediatr Dent. 2013 Mar;14(1):55-8

8) Aligne CA, et al. JAMA. 2003;289(10):1258

9) Clark MB, et al. Pediatrics. 2020;146(6)

10) American Academy of Pediatrics. Bright Futures Fourth Edition. Guidelines for Health Supervision of Infants, Children, and Adolescents.