先日、2週間健診の褥婦さんに麻疹と風疹の混合ワクチンを摂取しました。風疹のみならず、麻疹にも気にかけていて、教養の高い方なんだなと思いました。
麻疹(はしか)とは、ウイルス感染症で、ヒトからヒトへ感染します。妊娠中に麻疹にかかると症状が重症化しやすく、さらに流産や早産、低出生体重児を引き起こす危険性があります。
世界保健機関(WHO)と厚生労働省のページから麻疹の症状を要約すると、
・ウイルスにさらされてから約10日後に発熱や感冒症状が出現
・口腔内に小発疹が出現後、皮膚に発疹が3日ほどで拡がる
というのが特徴です。
また幼少期にかかりやすい感染症でもあるので、よってワクチンの接種をしましょうね、ということになります。
麻疹含有ワクチン(主に接種されているのは風疹との混合ワクチン)を接種することによって、95%程度の人が麻疹ウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫を付けることができます。
麻疹も風疹も、抗体価が少ない方は、妊娠前もしくは産後にワクチン摂取を勧めしたいのです。胎児の先天性感染症の予防効果や、出産後の赤ちゃんへの感染の予防、また他人へ移すことへの予防。このような先手の好循環を増やすことが重要と考えます。
WHOは昨年8月、昨年1月から7月の世界の麻疹感染者数が一昨年同時期に比べ3倍近く増加したと発表しています。WHOの基準で、地域内で麻疹の伝搬が12ヶ月以上確認されれば、その国は「麻疹排除」の認定を受けます。しかし英国、ギリシャ、チェコ、アルバニアの4カ国は麻疹の感染者数が増加しており、これらの国はもはや「麻疹排除国とはいえない」と警告しています。
先日、職員検診での採血にて私院長の麻疹抗体価は8倍で多くはありませんでした。私院長はワクチンを接種します。
東京オリンピック・パラリンピックイヤーの今年、様々な方々が日本へ訪れます。最近話題になっている新型肺炎のみならず、様々な感染症が伝搬するリスクがあります。ワクチンで自分の身を守る、ひいては他人へ移すリスクを抑える、そんな意識が大切だと感じます。
参考)
NICUマニュアル第4版
厚生労働省 麻しんについて https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html
WHO Measles https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/measles
NHS Measles in pregnancy https://www.nhs.uk/conditions/measles/complications/
Forbes はしかが繰り返し流行する日本 https://forbesjapan.com/articles/detail/25800/1/1/1
ユニセフはしか世界で流行 https://www.unicef.or.jp/news/2019/0175.html