妊娠とカフェイン

こんにちは、副院長の石田です。

妊娠中のカフェイン摂取はほぼ100%の妊婦さんが気にしていますし、外来でもよく聞かれる質問の一つです。そこで本日はカフェインと妊娠の関係についてお話ししたいと思います。

なぜ妊娠中にカフェインを取るのは良くないのか?

カフェインは胎盤を通過することができるため、お母さんが摂取すると赤ちゃんにも移行して影響を及ぼすと考えられています。カフェインを代謝する酵素はCYP450といって肝臓由来ですが、胎児は肝機能が未発達なので大人と比べてカフェインの滞留時間が長いとされているんですね 1)2)。カフェインの作用の一つとして精神刺激作用がありますが、これらは体内のセロトニンやアドレナリン受容体を刺激することで起こると言われています。この機序によるものかは分かりませんが、妊娠中に摂取されたカフェインは胎盤の血流速度を低下させる可能性が示唆されている他、早産や発育不全、流産などの原因になるかもと考えられているため摂取は控えた方が良いとされているわけです 3)4)5)6)。

食品中のカフェイン含有量

身近な飲み物で考えると100ml辺りで計算するならコーヒー:60mg、玉露:160mg、紅茶:30mgとなります。ちなみにエナジードリンクでは商品にもよりますが最高で300mgとか入っているものもあるそうな 7)。その他量は少ないですが、コーラやチョコレートなんかにもカフェインは含まれています。

カフェインの摂取量に安全域はあるのか

上記のようにカフェインと妊娠中の良くないイベントとの因果関係が示唆されているもののいずれのデータも質、量ともに確定的とは言えず未だに結論が出ていません。アメリカ産科婦人科学会(ACOG)では「1日200mg以下のカフェイン摂取では胎児に対する明らかな害は証明されていない」としていますし、世界保健機構(WHO)もカフェインの摂取をOKしているわけではないんですが、「1日300mg以上は摂らないでね」と勧告しています 8)9)。

まとめ

以上のことを踏まえると今のところの考え方としては、カフェインの摂取は赤ちゃんに良くない影響が考えられるからお勧めしないけど、どうしてもの時はコーヒーなら2〜3杯程度、緑茶なら1杯程度にしといてね」って感じでしょうか。麦茶やルイボスティー、十六茶®︎などカフェインフリーのお茶なんかもたくさんありますので、カフェイン愛好家の方もこれを機に自分の中で新しい飲み物を開拓してみてはいかがでしょうか?

1) Sara Morgan, et al. Can Fam Physician. 2013 Apr; 59(4): 361-362

2) Yu T, et al. J Clin Pharmacology. 2016 May; 56(5): 590-6

3) Kirkinen P, et al. Am J Obstet Gynecol. 1983 Dec 15: 147(8): 939-42

4) Li J, et al. Int J Gynaecol Obstet. 2015 Aug; 130(2): 116-22

5) Chen LW, et al. Public Health Nutr. 2016 May; 19(7): 1233-44

6) Modzelewska D, et al. BMC Pregnancy Childbirth. 2019 Feb 26; 19(1): 80

7) 食品安全委員会ファクトシート:http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf

8) ACOG Committee Opinion. Number 462, August 2010

9) WHO: https://www.who.int/elena/titles/caffeine-pregnancy/en/