こんにちは、副院長の石田です。
産後1ヶ月健診まではお母さんだけでなく赤ちゃんのチェックも産科ですることが多いですが、その中でも多いご相談におむつかぶれがあります。見た目に痛々しい時もあるためご両親もドキドキしてしまうかもしれませんね。そこで本日はおむつかぶれのあれこれについてお話ししたいと思います。
おむつかぶれとは
おむつかぶれは新生児や乳児にとって最も多い皮膚疾患の一つです。おむつが触れている部位に皮膚炎が起こって赤くなったり不快感をもたらしたりするわけですが、原因としてはおむつ内の湿度の上昇やおむつとの摩擦、皮膚表面のpHの上昇、尿や便に含まれる酵素による皮膚の障害などが言われています 1)。報告によって幅がありますが、20%以上の赤ちゃんがおむつかぶれになってしまうと考えられるため、是非対応を知っておきたいところです 2)3)。
おむつかぶれの予防
あいにく確実に効果的なおむつかぶれの予防法は確立していません。使い捨てのおむつの方が洗って使うおむつよりも良いのではないか?という研究もありましたが、結果的にどちらが優れているという結論は出なかったようです 4)。摩擦が良くないのは間違いなさそうなので、おむつ交換の際にはできるだけ優しく拭いてあげることが大事ですが、その際に使用するのは市販のお尻拭きでも綿を湿らせたものでもどちらでも差は無いようです 5)。きれいにした後で乾かす時には擦らずにタオルを優しく押し当てるようにしましょう。
おむつかぶれの治療
それでもおむつかぶれになってしまった場合には保湿剤などを使用することになります。日本では一般的に亜鉛華単軟膏(サトウザルベ®︎)やワセリンなどが使用されることが多いですが、いずれにしてもクリームやローションよりはこれらのベタっとした塗り薬の方が取れにくい上に皮膚への刺激が少なくて良いとされています 6)。それでも良くならない場合にはステロイドの塗り薬を使用することもあります。「ステロイド」と聞くと怖くなってしまうご両親も少なくないかもしれませんが、適切に使用されれば安全性も高く効果も期待できる薬ですのでしっかりと担当医に話を聞いてみてください。
カンジダに注意
おむつかぶれをこじらせるとカンジダというカビ菌が表面で繁殖して悪さをすることがありますが、そうなると上記の治療では良くならないので別の薬に変える必要が出てきます。カンジダに感染してしまったかどうかの見分けは簡単ではありませんが、一つの目安としておむつかぶれと違って皮膚の皺の中も全て赤くなってしまうという所見があります。なかなか良くならないおむつかぶれで赤みが強くなってきたと感じた時には皺の溝もチェックしてみましょう。
まとめ
というわけでおむつかぶれについてでした。カンジダ以外にもとびひなどで重症化することもありますので、赤ちゃんのお尻が気になる時には遠慮せずに産科や小児科で相談してくださいね。
1) Andrew N Carr, et al. Pediatr Dermatol. 2020 Jan;37(1):130-136
2) Shazia Adalat, et al. Pediatr Dermatol. Sep-Oct 2007;24(5):483-8
3) Li CH, et al. J Int Med Res. 2012;40(5):1752-60
4) Baer EL, et al. Cochran Database Syst Rev. 2006 Jul 19;(3):CD004262
5) Lavender T, et al. BMC Pediatr. 2012;12:59.
6) Atherton DJ. Curr Med Res Opin. 2004;20(5):645