妊娠中は腹部が大きく伸展することで水分が減少するなどの理由から妊娠線や湿疹ができやすくなります。なかでも妊娠後半期に特徴的な湿疹・丘疹をきたすもので『PUPPP』と呼ばれる疾患があります。
PUPPP(Pruritic Urticarial Papules and Plaques of Pregnancy)、日本語に置き換えると
『妊娠性そう痒性丘疹』
といいます。
PUPPPの特徴は妊娠後半期(末期)に妊婦腹部からそう痒性丘疹・水疱疹が出現し、やがて末梢まで拡大します。
なお分娩後は速やかにに消退することも特徴です。
初産婦に多い傾向があります。
病因
・腹壁の過伸展による結合組織の損傷
・血管透過性亢進による炎症反応
など
治療
・Strongクラス以上のステロイド外用剤:StrongのステロイドⅢ群としてメサデルム®︎、リンデロン-V®︎、フルコート®︎など
+、追加でヘパリン類似物質
・抗ヒスタミン薬の内服:第一世代は眠気に注意
+、追加でプレドニゾロン15mg/日の内服:ここまでの状態であれば高次施設での管理を推奨
鑑別診断
・妊娠性痒疹:とも呼ばれ、妊娠中期と妊娠末期のタイプに分別される。四肢から好発し、掻痒性丘疹と掻いた痕の皮疹から成る
・妊娠性疱疹:『Herpes gestationis』とも呼ばれ、表皮下水疱を形成する
・多形滲出性紅斑:感染のみならず薬疹などの中毒疹を含む
・アトピー性皮膚炎
参考文献;
妊娠と皮膚病変. 診断と治療Vol. 83-No. 2
PUPPP. 皮膚病診療. 29(8); 927-930
(院長執筆)