児の理想的な進行方向

狭い産道を通って赤ちゃん(児)は出てきます。児頭は大きいので、顎を胸につける「屈位」の状態が産道通過面に対し最小となります。別に言い方として要約すると

「児頭径線のうち最小である小斜径(suboccipitobregmatic diameter)周囲で産道を通過する」

事が狭い産道を通過するのに適しています。

小斜径は後頭結節後下方〜大泉門の距離で9.5cmとなります。

では進行方向についてはどうでしょうか。結論から申し上げると

「大斜径が骨産道軸の方向を向いている」

時になります。

大斜径(Occipitomental diameter)は頤(オトガイ)〜小泉門より3cm前方の点を結んだ径線です。

大斜径は小斜径に対しおおよそ直角に近く交わり、”Mentovertical diameter”とも呼ばれます。

なお、矢状縫合線上、小泉門より3cm前方の部分をFlexion pointと呼びます。

吸引分娩ではFlexion pointに吸引カップを当てます。要は児頭の屈位を保つ事で骨産道軸に沿った経腟分娩を目指すのです。

文責 院長

引用文献

産婦人科ファーストタッチ