赤ちゃんの目やに

こんにちは、副院長の石田です。

お産が終わって退院した後も産後健診としてしばらく産婦人科に通っていただきますが、その際によく気にされるのが赤ちゃんの目やにです。中には目が開かないくらいベチャベチャになってしまう子もいてご家族がとても心配されることが多いため、今回はこの件に関して解説したいと思います。

目やにの原因

人間の目は普段から少量の涙で濡れて乾かないようになっていますが、この涙は同じものがずっとそこにあるわけではなく「かけ流し」になっていて、絶えず新鮮な涙が分泌されては目の内側にある排水溝から鼻涙管という排水管を通って鼻の奥に排出されています。しかし生まれたばかりの赤ちゃんは鼻涙管が狭いため涙が通りにくく、結果的に一緒に排出されるはずの垢も溢れてしまうため目やにがガビガビになってしまうんですね。ある観察研究によると20%程度の赤ちゃんでこの症状が見られるということですが、肌感覚的にもそんなもんかなというのが私の印象です 1)。一方で1歳過ぎまでにほとんどの赤ちゃんで自然に治るとされており、必ずしも心配しすぎる必要もないようです 1)2)3)。

対処方法

まぶたや目の周りが赤く腫れたり、白目が充血するなどの感染兆候がなければ湿らせた清潔な布などで優しく拭ってキレイにしてあげられればOKです 4)。可能であれば目の内側、鼻の付け根あたりを1日に数回、清潔な指で優しくマッサージしてあげると鼻涙管の通りが良くなり症状も改善することがありますが、それでも良くならない場合は抗菌薬入りの目薬が処方されることもあります。一方で上記のような感染兆候がある場合には早めに専門医の診察が必要になりますので、積極的にかかりつけの病院を受診してください。

まとめ

本日は赤ちゃんの目やにについて解説しました。特に新生児にはありふれた症状であり、見た目の派手さとは裏腹に必ずしも心配しすぎる必要はありません。その一方で気をつけなければいけない感染兆候も存在しますので「おかしいな」と感じることがあれば遠慮せずに最寄りの医療機関に相談しましょう。

1) MacEwen CJ, et al. Eye(Lond). 1991;5(Pt 5):596.
2) Sathiamoorthi S, et al. JAMA Ophthalmol. 2018;136(11):1281.
3) Pediatric Eye Disease Investigator Group. Arch Ophthalmol. 2012;130(6):730.
4) NHS. Sticky eyes and conjunctivitis: http://childhealthwestkent.nhs.uk/sticky-eyes.html