ジエノゲスト

子宮内膜症や月経困難症において、医師からジエノゲストの服用を勧められたり、現在内服している方がいらっしゃると思います。

ジエノゲストと、他のピル(LEP*)との違いはご存知でしょうか。

※LEP: Low dose Estrogen-Progestin(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)

まずはジエノゲストは濃度の違いで2種類あり、適応が異なります。

ジエノゲスト1mg

適応:子宮内膜症、子宮腺筋症に伴う疼痛の改善

ジエノゲスト0.5mg

適応:月経困難症

ジエノゲストは第四世代の黄体ホルモン製剤で、強いプロゲステロン活性を持ちます。またアンドロゲン活性がないので、多毛やニキビの心配はしなくて大丈夫な製剤です。

なお黄体ホルモン[プロゲストーゲン]は総称です。天然型であるプロゲステロンと、合成の医薬品のプロゲスチン製剤があり呼称が微妙に異なることも覚えておいてください。天然型のプロゲステロンは、更年期症状に対するホルモン補充療法にも現在用いられています。

上述のとおりジエノゲストは「第四世代のプロゲスチン製剤」とも言え、プロゲスチン製剤では最新の世代の薬剤となります。

ジエノゲストは黄体ホルモン単独の製剤

LEPと異なり、エストロゲンが含まれていません。エストロゲンの成分が血栓症の大きなリスク因子となります。

OC**・LEPガイドラインにおいて40歳以上はピル服用の慎重投与対象であり、これは血栓症のリスクを懸念しています。

※※OC: Oral Contraceptive(経口避妊薬または低用量経口避妊薬)

40歳以上の方でも生理痛(月経困難症)でお困りの方はいらっしゃるでしょうから、その場合ジエノゲスト0.5mgを医師から提案される事があるのです。

ジエノゲストの内服によって子宮の内膜は次第に薄くなっていきます(菲薄化)。子宮の内膜が剥がれ落ちて出血するのが生理[消退出血]なので、子宮内膜が薄くなれば生理時の出血も減り、ひいては生理痛も軽減されていきます。

ジエノゲスト内服での注意点

ジエノゲストは体内に長く留まらないので、1日2回内服する治療薬となります(肝臓や腎臓に負担をかけにくいとも言えます)。他のピル(OC・LEP)は1日1回の内服です。よってジエノゲストの内服は、高い内服コンプライアンスが求められます。

ジエノゲストを服用し忘れたときは、気づいた時にすぐ服用してください。ただし、次の服用時間が近いときは、1回分をスキップしていただき、2錠を一度に服用しないようにしてください。

生理痛が辛い、40歳以上、ジエノゲストなど定期内服は難しいという方はミレーナ®︎の選択肢があります。ミレーナ®︎は子宮内に装着し、黄体ホルモンだけを放出する器具となります。

ただしミレーナ®︎も全ての方に適応となるわけではありません。子宮筋腫や子宮腺筋症が大きい場合は挿入処置が難しいだけでなく、出血コントロールが難しくなるからです。

執筆 院長