男性不妊と顕微授精

不妊症とは、妊娠を希望して性交渉を行なっているのにもかかわらず妊娠成立しない事で、その期間は1年と日本産科婦人科学会が定めています。

全不妊症の3050%は男性に起因

不妊症は女性だけが起因、という偏見は少なくなっていると思います。全不妊症の30〜50%は男性因子というデータを知っていただければと思います。

顕微授精(ICSI)は男性不妊を適応とする生殖補助医療

顕微授精は無精子症や乏精子症、受精障害(標準的な体外受精を行なっても受精しない)が適応となります。

顕微授精による妊娠率は、女性の高年齢の影響も考慮されますが受精率は50〜70%、生児獲得率はおおよそ30%程度とされています。

*受精卵(胚)を子宮腔内に戻すことを「胚移植」と言います。
胚移植には採卵した周期の「新鮮胚」(分割期胚または胚盤胞)を使用する場合と、「凍結融解胚」(分割期胚または胚盤胞)を使用する場合があります。

*着床前診断は、いわゆる胚の生検を行います。一般的には受精5〜7日目の胚盤胞の状態で行われます。

男性側のY染色体上の微小欠失があると、児(男児であれば)へ受け継がれる可能性があります。着床前診断や羊水検査により、胎児の性別が男児であればY染色体微小欠失についての出生前診断は技術的に可能ではありますが、日本では出生前診断の適応とはなりません。

参考文献:周産期遺伝カウンセリングマニュアル改訂3版, 中外医学社

執筆:院長