通常の染色体検査とマイクロアレイ検査

羊水検査について、通常の検査とより細かくみる検査があるのをご存知でしょうか。

G分染法(いわゆる通常の羊水検査)←みるターゲットはChromosome(染色体)

・G分染法の”G”は、ギムザ(Giemsa)染色によるもの

実際、G分染法以外にも様々な染色体を分染する方法が存在します。

・5Mbまでの染色体構成を検出できる(それより小さな染色体変化は検出できない)

染色体の大きさはMb(メガベース)で表され、ヒトの染色体は1本あたり数Mb〜100Mbの大きさで構成されています。

羊水中の胎児由来の細胞は、細胞数が少ないので培養を行なってから検査を行います。

染色体マイクロアレイ検査

マイクロアレイ(Microarray)も羊水検査から染色体異常をみる一つです。”array”は「配列」という意味です。

・G分染法より小さいゲノム量の変化がわかる検査

マイクロアレイ検査はゲノムにおける変化として塩基の欠失や重複を調べることができます。

Mbより一つ単位が小さいkbレベルの検査であり、ターゲットはGene(遺伝子)です。

・DNA配列の違いも検出できるため、特定のホモ接合かヘテロ接合であるか確認できる

マイクロアレイ検査はみている大きさの違いから、倍数性の異常や均衡型(転座や逆位など)の構造異常は検出できません(大きな構造異常は通常のG分染法の羊水検査でわかります)。

通常の羊水検査が「核型分析」(正常核型かどうか)の位置づけです。大抵は21トリソミー等の診断を行うために羊水検査を行うので、いきなりマイクロアレイ検査を行えばよい、というわけではありません。マイクロアレイ検査が加わると、胎児超音波検査で構造異常を認める症例のうちこの二つの羊水検査で約30%の原因が判明されます。

マイクロアレイ検査まで行う必要がある症例は、大学病院等で行われます。

執筆 院長