子宮筋腫と不妊症

こんにちは、副院長の石田です。

子宮筋腫という病気をご存知の方は多いと思います。子宮はもともと筋肉の塊のような臓器ですが、その筋肉細胞が変異を起こして丸い塊を作るのが子宮筋腫です。小さいと数mmから、大きいものでは赤ちゃんの頭ほどに育つものもあり、重い生理や不妊症などの原因になることが知られています。なかなか赤ちゃんができないカップルが婦人科を受診して初めて子宮筋腫を指摘されるということもあると思いますが、本日はそんな時にどうしたら良いのかを一緒に考えていきましょう。

子宮筋腫と不妊症

データによってだいぶバラつきがあるものの、子宮筋腫は5~80%程度の女性が生涯で罹患すると考えられています 1)。子宮筋腫は大雑把に、子宮の外側に突き出るように発生する漿膜下筋腫、子宮の筋肉の中に埋まるように発生する筋層内筋腫、そして子宮内に向かって突き出るように発生する粘膜下筋腫の3つに分類されます。この中でも受精卵が着床する内膜の形を最も歪めてしまう粘膜下筋腫や、大きな筋腫は妊娠への影響が大きいとされていますが、その一方で子宮の形にそれほど影響を及ぼさない筋腫であっても妊娠率を下げるというデータもあり、実際には子宮の形以外でも様々な経路で妊娠を妨げていることが推測されています 2)3)。

子宮筋腫のある不妊症の治療

上述のように子宮筋腫が不妊症の原因になることが知られている一方で、多くの子宮筋腫を持つ女性が特に問題なく妊娠・出産をされていることも事実です。そのため子供ができにくいカップルに子宮筋腫が見つかった場合でも、本当にそれが不妊の原因になっているかを確定的に診断するのはほぼ不可能です。そのため世界的に見ても不妊治療としての筋腫に対する治療をどのような患者さんに行うべきかは一致した意見がありません。ただ、筋腫が強く子宮内腔を歪めていたり、適切な不妊治療を複数回行ったにも関わらず妊娠できなかった場合は、積極的に治療が検討される傾向があります。治療は原則手術(核出術)になりますが、一部の例外を除いて筋腫核出後の妊娠では子宮破裂のリスクが高まるため、その後の分娩方法は帝王切開に限定されることには注意が必要です。また、術後は子宮の手術創の治癒を待たないといけないので、通常半年程度の避妊期間を設けるため、特に40代以降では妊活開始時期の遅れによる妊娠率への影響を考慮に入れる必要があります。

まとめ

本日は子宮筋腫と不妊症について解説しました。子宮筋腫があるからといって、必ずしもそれを摘出しないと妊娠できないというわけでもない一方で、もしその筋腫が不妊の原因となっている場合、下手に手術を遅らせるとそれによる時間のロスに繋がってしまうというジレンマのある難しさがこの問題にはあります。絶対的な正解が無いため判断が難しいですが、当事者の方におかれましてはご自身がどうするべきか、かかりつけの産婦人科でよくよくご相談してみてください。

参考文献
1) Patricia Evans, et al. Am Fam Physician. 2007 May 15;75(10):1503-8.
2) Jacques Donnez, et al. Fertil Steril. 2024 Jul;122(1):31-39.
3) Georgios Michos, et al. Cureus. 2023 Dec 23;15(12):e50992.