軟産道は骨産道の内側に存在する産道組織で
子宮、腟、骨盤底筋や靭帯、結合織、会陰等で構成されます。
これらは分娩時期になると硬度が低下し伸展をきたす組織です。分娩が順調に進行しない(分娩遷延)・特に児娩出直前にも関わらずこれらの組織によって児の娩出が困難な場合は器械分娩(吸引分娩または鉗子分娩)を行うことがあります。その際の診断を
「軟産道強靭」
と呼ぶのです。
軟産道強靭の要因をいくつかあげると
・高齢妊婦
・産道を妨げる子宮筋腫
・子宮頸管熟化不全
・高度肥満
などです。妊娠中の体重増加が著しい場合、産道の軟部組織の厚みが大きく産道が狭い場合、軟産道強靭に含めます。
器械分娩の適応として胎児機能不全、回旋異常、微弱陣痛(分娩第2期の母体疲労を含む)、そして軟産道強靭があります。器械分娩は自然分娩に比べ軟産道の裂傷が増えることが予想されますが、器械分娩の適応があるにもかかわらず処置を拒み続けると、児の予後に悪影響を及ぼしてしまいます。軟産道強靭の要因のなかで妊婦さんができることは体重管理となります。妊婦健診期間中は適切な食事摂取を心がけましょう。
執筆 院長