5〜11歳の新型コロナワクチン接種

本日から長女のクラスが学級閉鎖になるようです。最近は新型コロナウイルスの家族内感染も問題となるなか、もしお子さんに感染したら、病状の悪化をできるだけ抑えたいと思うのは、どのご両親も思われることだと思います。

先週から日本でも5〜11歳のお子さんに新型コロナワクチン接種が可能となりました。以下ポイントをまとめておきます。

・経緯:2021年10月、アメリカのFDAはファイザー製の5〜11歳用の新型コロナワクチンを認可しました。これは2000人以上のランダマイズドトライアルのデータにおいて、91%以上が新型コロナウイルスに対して有効で、かつ成人データの結果と同様との判断とされました。よってCDCはこのワクチン接種を『推奨(recommendation)』となり、日本も続いてこの小児用ワクチン接種が可能となりました(COVID-19 vaccination in children 5 years and older, UpToDate, November 2021)。

・製剤は小児(5〜11歳)専用:コミナティ筋注5〜11歳用:キャップがオレンジのものです。-60度以下なら9ヶ月間保存可能です。

・接種量は12歳以上で接種する量の1/3:希釈し1回接種量が0.2mL(10μg)で

接種間隔は12歳以上と同様で3週間あけ、計2回接種します。

・結論;

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/child/

ニューイングランドジャーナルの文献では、このワクチンは5〜11歳に安全かつ有効に新型コロナワクチンに対しての免疫応答、いわば抗体が得られると結論づけています。

以下厚生労働省と埼玉県のサイトも是非ご覧になってください。(院長執筆)

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/child/

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0710/covid-19/parent.html

新型コロナワクチン非接種妊婦の予後

現在、オミクロン株による新型コロナウイルスが猛威を奮っている状況で、にしじまクリニックにおかかりの妊婦さんやそのご家族も例外ではありません。当院も埼玉県産婦人科医会のリエゾンシステムに基づき、感染者や濃厚接触者に毎日健康状態を確認させてもらっています。

以前から基礎疾患もつ方や妊娠中の方は、新型コロナウイルスに感染すると予後不良とされていましたが、とりわけワクチン非接種だとより危険であることがスコットランドのおよそ8万8000人妊婦の追跡調査で示されました。

https://www.science.org/content/article/covid-19-starkly-increases-pregnancy-complications-including-stillbirths-among?utm_campaign=Gadi&utm_source=AAAS&utm_medium=Facebook

ワクチン接種が始まった2020年12月以降にスコットランドで妊娠した8万7694人が対象(2021年10月までの追跡調査)です。

新型コロナウイルスに感染し、1ヶ月以内に出産した620件のうち、14件が子宮内胎児死亡もしくは新生児死亡が起こったと報告しています。その14件全てがワクチン非接種妊婦であったとのことです。

この(周産期)死亡率は1000件出産のうち22.5という比率になり、スコットランドの本来の1000件出産のうち5.6の比率を大きく上回ります。

また新型コロナウイルスに感染した妊婦は、早産率が2%ポイント上昇したとも報告しています。

新型コロナウイルスに感染し集中治療が必要になった妊婦の98%がワクチン非接種とのことでした。

(院長執筆)

HPVワクチンの積極的勧奨が再開されます

11月下旬、厚生労働省は「ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に係る定期接種の今後の対応について」の通知を全国の自治体に向けて発出しました。今回の通知は2013年6月の勧告を変更するもので、令和4年4月よりHPVワクチン接種対象者に予防接種法第8条に基づき勧奨を行うこととなります。

最新の知見を踏まえ、改めて同ワクチンの安全性について特段の懸念が認められないこと、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められたことから、『積極的勧奨』の再開となります。

先日、10歳の娘が2回目のHPVワクチン接種を済ませました。にしじまクリニックスタッフの多くの娘さん方も、続々とHPVワクチンの接種を済ませております。

最近はご質問にいらっしゃる親子さんも大変多いです。対象者の方、ご家族は、まずは外来へいらっしゃっることを検討してみてはいかがでしょうか。

(院長執筆)

参考文献;

日本産婦人科医会報第73巻11号

レズビアンの女性と健康管理について

こんにちは、副院長の石田です。

10/31に総選挙がありましたが、今まで以上に夫婦別姓や性的マイノリティーなど多様性に関する公約が大きな争点の一つとなったことが印象的でした。そこで本日は、意外と誤解の多いレズビアンの方々の健康管理についてご紹介させていただこうと思います。

同性愛女性の健康リスク

同性愛者の女性は異性愛者と比べていくつかの点で健康リスクが高いことが知られています。具体的には肥満率や喫煙率の増加、精神疾患の罹患率やDVリスクの上昇が指摘されています 1)。これらは欧米のデータであり、日本人でどうなるかは今後の調査が待たれますが、こういった傾向は同性愛者に特徴的な医学的要因があるというよりは、性的マイノリティーに対する社会の偏見が当事者に対して慢性的なストレスとして作用することが一因と考えられており、ある意味で当事者の方々が本来負う必要のない健康リスクを背負ってしまっているという側面は注目されるべきだと思われます。

子宮頸がんのリスクも上昇する可能性

以前からこのブログでもお伝えしていますが、子宮頸がんはその大部分が性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を起点として罹患します。そう聞くとあたかも陰茎の挿入が無ければリスクが低いと思われがちですが、実は粘膜の接触のみで十分感染するので女性の同性愛者であっても関係なくリスクは存在するんですね。それにも関わらず上記のような誤解が広まっているためレズビアンの女性では子宮頸がんワクチンの接種率が低いことが指摘されており、そのせいで子宮頸がんの罹患リスクが異性愛者と比べて高まることが懸念されています 2)3)4)。

ほかに気をつける感染症

HPV以外にも性病で言えばクラミジアやコンジローマなんかは普通に接触感染でうつります。というか、異性愛者のようにコンドームを使えないせいか感染率は上がってしまう可能性が示唆されています 1)。一方でHIV感染は極めて稀であるものの確認されていることには注意が必要です。要は陰茎の挿入や射精という特定の行為が無くてもセックスにまつわる様々なリスクはレズビアンの方々であっても意外に下がらないということなんですね。

まとめ

というわけで本日はレズビアンの女性と健康管理について少しご案内いたしました。私的に一番伝えたいのは、同性愛者の女性でも子宮頸がんワクチンや頸がん検診の恩恵は十分に期待できるのでお勧めですということです。
社会の在り方や意識が少しずつ変容してはいるものの、性的少数者に対する正確なヘルスケア情報を得るのが難しいという問題があります 5)。そうした状況が少しでも改善してみんなが元気でいられるように微力ながらこれからも発信していきたいと思います。

1) Daniel AK, et al. Am Fam Physician. 2017;95(5):314-321

2) Marina A, et al. Ann Intern Med. 2015 Jul 21;163(2):99-106

3) McRee AL, et al. Vaccine. 2014;32(37):4736-4742

4) Robinson K, et al. BJOG 2017;124:381-392

5) Daniel AK, et al. Am Fam Physician. 2017;95(5):314-321

ワクチンQダイアリーの入力方法

先日、10歳の長女がHPVワクチン『シルガード9』を接種しました。

(『シルガード9』は9歳以上の女性が対象です)

シルガード9を接種する前に、インターネット上でサポートシステム『ワクチンQダイアリー』の入力が必要となります。本日はその入力方法をお伝えします。

①ワクチンQダイアリーへアクセスします。

https://vaccine-q-diary.com/user/#/C0201_Login

②新規登録を行います。

新規登録後、ログインした後のTOPページは以下画面となります。

ワクチンQダイアリーTOPページ

③【重要】接種医コード入力を行います。

接種医登録画面

私院長と副院長石田のコードを以下載せておきます。

接種医(西島翔太)コード
接種医(石田健太郎)コード

接種医コードの入力と接種医による閲覧への同意が完了することで、以後接種担当医が接種者のスケジュールや接種日の登録をすることができます。

シルガード9を接種される方は全例、ワクチンQダイアリーの登録が必要です。万が一健康被害が発生した場合の『医薬品副作用被害救済制度』を受けられる重要な登録・情報管理ですので、ご協力をよろしくお願いします。

④接種日時の『日程確認』を行います。

なお、この画面での日時は予定接種日です。接種予定日の1週間前にログインで使用したE mailアドレスへ連絡メールが届く仕組みとなっています。

実際の予約日時については、当院で予約した時間にご来院ください。

なお接種日を変更したい場合は当院へご連絡ください。

⑤接種日当日、予診表となる『接種前確認事項』を入力します。

接種前確認事項(予診表)

入力が完了すると、接種担当医へ記載の情報が共有されます。

担当医がその情報と当日の最終問診表を確認後、シルガード9の接種となります。

接種後、担当医が接種した登録と次回接種予定日(2ヶ月後)の仮登録を行います。

2回目接種と3回目接種は手順④と⑤のみです。