私達医療従事者のみならず、いよいよ一般の方々も新型コロナワクチン接種の機会が迫ってきています。そこで本日以下の内容を記載することにしました。
にしじまクリニックに来院される方で、コロナワクチンの接種に対して質問があるのは
・妊婦さん
・ピル内服中
の方々が大半を占めます。
まず妊婦さんのコロナワクチン接種についてです。厚生労働省のホームページでは、「感染リスクの高い妊婦は積極的に接種を推奨する」と明記されています。
・感染者が多い地域に在住
・医療従事者、保健介護従事者
・重症化リスク(肥満、糖尿病など)がある
方々が適応とされています。
また私院長は、感染リスクという観点から上記のみならずエッセンシャルワーカーや里帰り分娩予定の方々も接種が望ましいと考えています。
以下、厚生労働省のホームページをリンクさせておきます(よくまとまっていると思います)。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0027.html
ただし、器官形成期である妊娠12週までは念のためコロナワクチンの接種時期をずらした方がよろしいかと思います。
続いて、低容量ピルを内服している方で血栓症が心配、という訴えも多く聞かれます。
今一度お考えいただければ思いますが、低容量ピル内服中の血栓症のリスクより、妊娠に契機とした血栓症のリスクがずっと高いのです。
先ほど申し上げたとおり厚生労働省、日本産科婦人科学会、日本感染症学会らが「妊婦のワクチン接種は可能」としている時点で、婦人科におけるピル内服中の方らも現時点ではワクチン接種は問題ないと考えます。
静脈血栓塞栓症(VTE: Venous ThromboEmbolism)の発症頻度はACOG(American College of Obstetricians and Gynecologists)によれば
妊婦は5〜20/10000婦人/年間
であります。一方低容量ピル使用者の静脈血栓塞栓症の発症頻度は3〜9/10000婦人/年間程度なのです1)。
また私の雑感ですが、ピル大国の欧米で、ピル内服中の方らがわざわざ内服を中止して新型コロナワクチンを接種しているとは考えにくいです。
ただし、コロナワクチン接種の際には問診表にピルの内服をしていることを記載し、問診でも必ず申告するようお願いします。
以上となりますが、それでもコロナワクチン接種を打ってもよいのか心配、というお問い合わせが今後予想されます。申し訳ありませんが、当院では電話でのご相談は安全上の観点からお断りします。当院ではHPVワクチンも含め、ご相談を対面で行っております。お手数ですが外来を予約していただくか、またはオンライン診療を予約していただき、個別対応させていただきます。
参考文献
1) CQ501. OC・LEPガイドライン