こんにちは、副院長の石田です。
ご両親にとって赤ちゃんが産まれて最初のお仕事の一つが名付けです。妊娠中から産後にかけてみんなで新しい家族の名前を考えるのは幸せな時間ですよね。日本では赤ちゃんの名前を漢字の意味や文字数、字画、音感など様々な角度から考えますが、一方で世界に目を向けてみるとそれぞれの文化にそれぞれの視点があって面白いトピックでもあります。そこで本日は世界の名付けについて皆さんと一緒に見ていきたいと思います。
名付けのルール
日本では90年代に「悪魔」ちゃんという名前をつけようとして役所で揉めた方が話題になりましたが、現行のルールでは戸籍法50条に「子の名には常用平易な文字を用いなければならない。」「常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。」という定めしかありません 1)。これは世界的に見ると自由度が高いらしく、諸外国ではもう少し詳しく禁止事項が定められていたりします。例えばドイツをはじめ、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランドなどでは赤ちゃんの将来に影響がありそうな名前は禁止されています。具体的にはスウェーデンで”Brfxxccxxmnpcccclllmmnprxvclmnckssqlbb11116”という名前が却下されたことがあるそうです。(ちなみにこれでアルビンと読むそうですが、この両親はその後”A”という名前で再提出してもう一度却下されたそうです。)また、ドイツでは性別が分かるような名前にする(男の子には男の子の名前を)とか苗字のような名前をつけないといったルールもあるようです 2)3)。
名付けの慣習
日本や中国は世界でも珍しく漢字というそれ自体が一つひとつの意味を持つ数千種類のアルファベットを有しているため文字に意味や願いを込めて名前にしていくことが多いです。それに対して例えばカトリック系の国々(スペイン、イタリアなど)では天使やその地域に馴染みのある聖人の名前にちなんで名付けられることが多いようで、地域によっては自分の誕生日と同様、名前の由来となった聖人の日も大切にお祝いするそうです。その他ギリシャやベネズエラでは両親や祖父母の名前を受け継いだり、インドではナクシャトラという占星術やヒンドゥー教の神様から名前をもらったりするということでした。ちなみに当院の院長が国境なき医師団で派遣されていたナイジェリアでは、想いを込めた名前とは別に生まれた日の状況にちなんだ名前も一緒に付けられる文化があるようです。(例えばBejide:雨が降っている時に生まれた女の子の意味 など)4)5)
まとめ
というわけで本日は世界の名付け文化についてのお話でした。名前のインスピレーションをどこからもらってくるかは多種多様ですが、どの名前にも子供の幸せへの祈りが込められていて素敵ですよね。皆さんも名付けの機会が回ってきたら、是非時間をかけて楽しんでみてください。
1) https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000224
2) https://cultureready.org/blog/baby-naming-around-world
3) https://www.mentalfloss.com/article/25034/8-countries-fascinating-baby-naming-laws
4) https://www.babycentre.co.uk/a568884/baby-naming-practices-from-around-the-world
5) https://junodx.com/blog/baby-naming-traditions-in-different-world-cultures/