染色体検査と解像度

ゲノムとは、細胞の中に含まれているDNAの持つ遺伝情報の1セットをさします。

ゲノムで生じる塩基の変化は、顕微鏡レベルの染色体検査から1塩基レベルまで様々です。

遺伝学的検査ではどのレベルの遺伝子の変化なのか、大きさ・解像度の狙いを定めて検査方法を決める必要があります。

・染色体検査(5〜15Mbレベルのゲノム量)

5〜15Mbレベルのゲノム量の変化と構造の変化が確認できます。

新聞で例えるなら、「紙面全体を見ている」という状態です。

このレベルから拡大率を約1000倍にしたものがFISH法です。

・FISH法(50kb〜1Mbレベルのゲノム量)

FISH法では、50kb〜1Mbレベルの解像度でゲノム量の変化を解析することができます。

新聞で例えるなら、「紙面のタイトルが読めるようになる」状態です。

FISH法は培養を行わず、細胞を蛍光顕微鏡下で確認する(蛍光in situハイブリダイゼーション)方法です。当院でもご提供している羊水検査のうち迅速法として用いられ、特定の領域のコピー数を見る検査です。羊水検査の迅速法(Rapid FISH)では21トリソミー(Down症候群)、18トリソミー、13トリソミーの有無を1週間程度で判明することができます。

院長執筆