赤ちゃん(胎児)の健常性を評価する項目として「バイオフィジカル・プロファイルスコア(BPS)」があります。これは
・筋緊張
・胎動
・呼吸様運動
・CTG(胎児心拍数陣痛図)
・羊水量
の5項目を評価します。
筋緊張は妊娠8週頃、胎動は妊娠12週頃、呼吸様運動は妊娠20週頃に、一過性頻脈は妊娠28週頃に出現します。よってこれら全てを評価する時期としては妊娠末期(妊娠28週)以降ということなります。
筋緊張と胎動は一見同じようにも思われますが実は異なり、
筋緊張は体に力が入っているかどうか、
胎動は体に力が入り、かつしっかり動かすことができるか
をみています。
胎児心拍数は自律神経の交感神経と副交感神経のバランスで制御されています。胎児が低酸素状態になると、CTGで一過性頻脈や基線細変動消失などの変化がみられます。基線細変動は胎児心拍数モニタリングの判読において重要な要素で胎児アシドーシスの有無と関連があります。
さらに低酸素状態が続けば呼吸様運動、胎動、筋緊張が行われなくなってくるのです。
上記4項目に対し、羊水量は急性の低酸素状態の環境では変化しません。主に胎盤機能不全から、長期にわたる低酸素状態に胎児が曝されることで羊水量の減少が起こります。
よってBPSは胎児の直接の観察を行う超音波検査のみならずCTG検査で胎児の自律神経を確認し、また羊水量の評価で胎児の時間的ストレスの把握を推移することができます。胎動に関しては妊娠末期で妊婦さんご自身でも確認が可能な項目ですので、これら5項目は胎児管理において多岐にわたる適切な評価法と言えるのではないでしょうか。
執筆 院長