NCPRを行うべき背景

NCPR(Neonatal Cardio Pulmonary Resuscitation:新生児蘇生法)のアルゴリズムは、出生後呼吸をしない(無呼吸)児が子宮内でどの程度の低酸素にさらされていたのかを診断していくプロセスでもあります。

一次性無呼吸とは

子宮内で低酸素にさらされた胎児は、呼吸を行うために胸郭運動を行おうとするも、低酸素により脳幹の呼吸中枢が機能せず呼吸運動が停止してしまうこと

二次性無呼吸とは

時間とともに低酸素とアシドーシスが進行すると、やっとの呼吸(あえぎ呼吸)自体も停止してしまうこと

・一次性無呼吸の時点で生まれてきた児に行うべき処置→極度の子宮内環境の悪化はなく、循環は保たれていた状態なので、気道を開通し皮膚の刺激だけで自発呼吸を開始することができます。

これらはNCPRのアルゴリズムとして『蘇生の初期処置』に相当します。

・早期の二次性無呼吸で生まれてきた児に行うべき処置→人工呼吸が必要です。

これはNCPRのアルゴリズムとして『救命の流れ』に相当します。

このように、NCPRのアルゴリズムは蘇生処置を行うことで児の反応に対し、児がどのくらい低酸素状態にさらされていたのか診断することも兼ねています。産科医療従事者はCTG所見らも含め、周産期において児がどの位ストレスにさらされているかを常にアセスメントする必要があります。

執筆 院長