赤ちゃんの進み方②、回旋(かいせん)を知る

赤ちゃんは狭い骨盤を通過しお産となるので、骨盤内では回旋(かいせん)、つまり骨盤の中を周りながら降り進んでいきます。本日はそのお話です。

回旋を知るには骨盤の形による条件と、赤ちゃんの向きの指標を知っておく必要があります。

まず骨盤の形です。骨盤入口面は横に長い楕円の形を成しています。一方出口面は縦長となります。

それに対し、赤ちゃんの頭(児頭)の形は縦長です。よって骨盤をくぐり抜けるためには、

骨盤入口面では児頭は横向きで入ります。しかも入口部は骨盤内で一番狭い空間があるので、通常赤ちゃんはアゴを胸側に引きつけるような向きに曲げます。これを『第1回旋』と呼びます。

骨盤出口面は縦長なので、赤ちゃんは横向きから次第に正面・縦向きへ方向を変えながら下降していきます。この過程を『第2回旋』と呼び、私院長の前回ブログ内容の『エンゲージメント』を経て第2回旋が進んでいきます。ちなみに、第1回旋(横向き)から第2回旋(縦向き)へ回る角度は90度となります。

これらの回旋を正確に知るためには赤ちゃんの頭を触り、向きを特定するのです。

赤ちゃんの頭のてっぺんには左右の骨が合わさる矢状縫合という直線状のわずかな隙間があり、その前側には『大泉門(だいせんもん)』、後側には『小泉門(しょうせんもん)』という骨同士の間の大きなスペースがあります。

私の左手を使ってシェーマを描いてみました。私の左手が児頭だと思ってくださいね。

左手の甲が赤ちゃんの後頭に相当し小泉門があります。一方前頭・額らへんに大泉門があります(あると思ってください)。ちなみに握った指側が顔面になるとしてくださいね。

以下の写真は私たちお産に関わる医療スタッフの視野を想定しています。つまり妊婦さんが分娩台に載り、スタッフが分娩介助をしている時、児頭はどうやって回旋しているかをみるシェーマです。白のリングは産道(腟)だと思ってください。

引き続き左手を使っています。よって回旋が始まる前、赤ちゃんの背中は妊婦さんの左側となります。

まず第1回旋から。児頭は屈曲して後頭部である小泉門が先進します。これによって横長である骨盤入口へ児頭が入ることができます。その後骨盤は出口部まで縦長のスペースへなるので、第2回旋が始まります。

第2回旋は先進部である小泉門が反時計(右上)へ回り母体前方、いわゆる恥骨側へ回旋します。この時に先日お話ししたエンゲージメント・Station “0”の状態を経て、児頭の下降は進んでいきます。この時子宮口は大体7cm前後でしょうか。第2回旋が終了した時点で後頭部(小泉門)は恥骨側・12時方向の位置となり児頭の正面・縦向きが整います。この時子宮口は既に全開大(10cm)でいよいよお産となります。

第3回旋は第1回旋の逆向きになって児が娩出するものなので、この場合児は反屈して恥骨をくぐり抜けるように児頭が産道(腟)から娩出します。

最後の第4回旋は第2回旋の逆向きに肩が回ります。よって通常は第1回旋と同じ向きへ赤ちゃん顔が見えるように回旋し、つまり今回の例では妊婦さんにとっての左側に赤ちゃん顔があり、全ての回旋を終えるのです。