赤ちゃんの進み方③、骨盤の形を知る

赤ちゃんの進み方第3段、ひとまずの完結編として、今回は『骨盤の形』にフォーカスしたいと思います。

図 骨盤の形〔産婦人科の必修知識 から〕

骨盤の形もいろいろありまして、お産に関して骨盤の正面・入口面を大まかに4つの形に分けて産科医は骨盤のレントゲンを確認しています。

a.女性型:名前のとおり、一番理想な形です。前後と横の径がほぼ一緒なので、赤ちゃんの頭(児頭)がどんな進入でもお産が進んでいきます。

b.細長型:横の径より前後の径が長く、特に第1回旋の時に赤ちゃんの頭が反屈する回旋異常が起こりやすいです。ただし前後径は長いので、第2回旋は起こりつつ児頭の下降は進んでいきます。

d.男性型:横の径が長いタイプです。第1回旋はすんなりいくのですが、そのまま児頭が下降して第2回旋が行われない『低在横定位』と呼ばれる状態が起きやすいです。回旋の補助をし吸引もしくは鉗子分娩を行えば経膣分娩可能なことが多いです。

c.扁平型:これが一番やっかいな骨盤です。見た目も4タイプ中一番狭そうなのがお分かりいただけるでしょうか?骨盤内が狭いので、赤ちゃんの頭の骨同士が重なりあって下に降りようとしていきます。分娩時の障害も起こりやすいです。

初めてお産にのぞむ方は、骨盤の形を知ることが実際のお産に役立つ情報の一つとなります。

初産に加え他の因子として、身長が145cm未満の方や体重が増えすぎている方は、誘発分娩が必要な時までに骨盤撮影を行ってこの先の加療がreasonableか、骨盤評価を行うことは産科医にとって一つのツールであるべきだと私院長は考えます。