『STEP』の活用

にしじまクリニックでは患者・妊婦さんの安全を確かなものにするために、チーム体制の強化を行なっています。エビデンスに基づいたチーム体制を強化するため、”チームSTEPPS”というプログラムを実診療で浸透させていきます。今回はチームSTEPPSの能力の一つである『状況モニター』のうち、『STEP』というツールについて述べていきます。

患者・妊婦さんのみならず、チームのメンバーを「モニター」することで医療安全を確かなものにし、エラーを回避していきます。そのツールとして『STEP』の情報をメンバー内で共有していくのです。STEPとはモニターする4つの大項目の頭文字を合わせたものです。

陣痛が発来した産婦さんでSTEPを考えてみます。

Status of the patient:産婦さんの状況

□患者・妊婦(産婦)さんの妊娠週数・妊娠分娩歴・既往歴・GBS保菌・アレルギー

□バイタルサイン

□身体所見:内診・CTGモニターの評価 等

□心理社会的状況:外国籍・立会い分娩・臍帯血採取 等

Team members:チームメンバー

□業務量は適切か(担当助産師、分娩担当以外の業務):忙しい状況かどうかは日々異なる

Environment:環境

□院内の状況:LDRや手術室の状況

□人材・人員:バックアップスタッフ、アロマスタッフ、担当医 等

□的確なトリアージ:内診やCTGモニターの評価等の継続性の確認

Progress toward goal:目標と進行状況

□既存の計画:モニタリングや内診評価、分娩誘発、分娩様式は適切か

これらの因子をまとめ、チームメンバー内で共有します。当院ではナースステーションのホワイトボードにまとめて情報を見れるように行います。

医師と助産師・看護師との1対1の申し送りだけではなく、チームメンバー内でこのSTEPを共有するハドルの時間は患者安全にとても効果的であり、当院では主に午前中のナースステーションでSTEPの共有を行います。

(院長執筆)