産婦の心停止を認識した場合、質の高いCPRを行う事で母体と胎児の生存の可能性が高まります。
*CPR(CardioPulmonary Resuscitation):心肺蘇生
心停止の認識
・意識反応の有無:傷病産婦の両肩を叩き、「大丈夫ですか」と大きな声で尋ね、意識を確認します。
また大声で助けを呼び、救助者の確保に努めます。
・正常呼吸の有無:胸郭の上がり下がりで呼吸の有無を10秒以内にチェックします。
・呼吸の確認とともに、10秒以内にはっきりとした脈拍を触知できるか:成人は頸動脈の触知にて脈拍をチェックします。
これらの所見がない場合は「心停止」と認識し、すばやくCPRに移行します。
質の高いCPRを行う
・心停止を認識してから10秒以内に胸骨圧迫を開始します。
・胸の上がりのみられる効果的な人工呼吸を行います。
AEDによるショックは胎児に害を及ぼさない
一般成人の心停止と同様にCPRを開始しAEDの到着後、AEDを使用します。
AED装着後のアルゴリズムは成人も産婦も変わりありません。
*AED(Automated External Defibrillator):自動体外式除細動器
AEDを使用した場合の胎児への影響ですが、電気ショックが胎児に影響する可能性がまったくないとはいえませんが、悪影響を及ぼした報告はありません(それ以上の危機に瀕しているとも言えます)。
しかし、除細動のための電極が貼ってある位置は母親の胸部であり、腹部の羊水の中にいる胎児の心臓からは離れており、ショックエネルギーはそこに到達するまでにかなり減弱されていると考えられます。
もう一人の救助者がいれば、質の高いBLSに加えて子宮左方移動
用手的子宮移動を、もう一人の救助者がいる場合は試みます。傷病産婦を蘇生し、左側臥位へ横向きにします。これにより母体心臓への血流が改善し、ひいては胎児への血流も回復するのです。
なお、呼吸と脈拍が正常であった場合も、傷病産婦を左下にして救急応答者の到着を待ちます。
参考:AHA BLSプロバイダーマニュアル
執筆 院長
