英米式の回旋表現法

分娩の進行状況を診る際、児の回旋を確認する事は欠かせません。

今回は英米式の回旋表現法について解説します。

英米式についてはとてもシンプルで、児(頭)の向き[position]を表現する事で回旋を示します。すなわち『方位点を確認し、それが母体の前後(左右)どこに位置するか』というものです。

頭位のうち、(先進部が)後頭位や前頭位の場合、方位点は後頭(Occiput)となります。要は内診で後頭(実際には小泉門がメルクマール)を確認し、

後頭が母体前方(Anterior)に位置する:Occiput Anterior(OA)

後頭が母体後方(Posterior)に位置する:Occiput Posterior(OP)

とPositionを表現するのです。

ちなみに骨盤位の場合、内診では当然ながら児頭は触れませんので方位点は臀部仙骨(Sacrum)となります。

よって表現法は「SA」や「SP」となります。

では顔位/頤位の場合の方位点は?

顔位または頤位では後頭・小泉門は触れることができないので、方位点は児の顎(Mentum)となります。

第3回旋にて、児頭は「恥骨をくぐり抜ける」方向へ進む事が経腟分娩可能な条件となります。となると、前方前頭位が反屈位であるものの、経腟分娩が可能となる事を考えていただくと

・MA(Mentum Anterior)⇨経腟分娩可能

・MP(Mentum Posterior)⇨経腟分娩不可能

という事がお分かりいただけると思います[産婦人科ファーストタッチpp282-283]。

文責 院長

引用文献

産婦人科ファーストタッチ