乳幼児突然死症候群(SIDS)について

こんにちは、副院長の石田です。

睡眠中の赤ちゃんがなんの前触れもなく亡くなってしまう乳幼児突然死症候群という病気があります。感染症や窒息などが原因で赤ちゃんが急に亡くなってしまうことはあるのですが、それらとは異なり全く原因不明の突然死として区別されています。令和6年には1歳未満のお子さんが50人以上もSIDSで亡くなっており、乳児死亡の原因として上位にランクインしています 1)2)。あまり悲しい話題を取り上げて皆さんを怖がらせたくはないのですが、外来で話していると結構誤解もありそうだなと感じることが多いので、本日はSIDSについて少し解説してみたいと思います。

SIDSの基礎知識

乳幼児突然死症候群(SIDS)は日本では6000〜7000人に1人が発症するとされています。上記の通り、乳幼児突然死症候群(SIDS)は原因がはっきり分かっていませんが、なぜか12月以降の寒い時期に多いことが知られており、そのためこども家庭庁では11月を対策強化月間として普及活動と啓発に力を入れています。リスク因子としてうつ伏せ寝や親の喫煙が知られているほか、男の子の方がややなりやすいことを示す研究も存在しています 3)。特徴的なのはSIDSの80%以上が生後半年までに起こり、その中でも生後2〜4ヶ月が最も多いということです 4)。

SIDSにならないためにできること

上記の通り、うつ伏せ寝や喫煙が大きなリスク因子となっているため仰向けで寝かせることや家族は禁煙することが望まれます。特に仰向け寝の効果は絶大で、実際にそれが推奨されるようになった1990年代にはSIDSの件数が世界各国で劇的に減少しました 5)。タバコに関しては生まれてからの受動喫煙もそうですが、妊娠中の喫煙が最も悪いことが知られているため、可能な限り早くにやめていただくことが肝心です 6)。そのほか、柔らかすぎるベッドや親と一緒のベッドでは寝ないことや、枕(頭の形を矯正するためのドーナツ枕を含む)を使わないことも提唱されています 7)。一方で先日のブログでもお伝えしたように入眠時におしゃぶりを咥えさせることはSIDSから赤ちゃんを守る効果があるかもと考えられています。母乳育児はSIDSの発症率を低下させることが知られているので、感染症や持病などの事情が無い場合は是非授乳を頑張ってみてください。

まとめ

本日は乳幼児突然死症候群(SIDS)について解説しました。せっかく産まれてきた赤ちゃんが早々に亡くなってしまうのはとてもつらいことです。完全に防ぐことは難しいですが、一方でご家庭でできる予防法がありますので可能な範囲で取り組んでいただけると良いと思います。そのほかいくつか細かい注意点もありますので、気になる方はかかりつけの産婦人科や小児科で相談してみてください。

参考文献
1) こども家庭庁. 赤ちゃんが安全に眠れるように ~1歳未満の赤ちゃんを育てるみなさまへ~
2) 政府広報オンライン. 赤ちゃんの原因不明の突然死 「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント
3) RG Carpenter Lancet. 2004 Jan 17;363(9404):185-91
4) Shapiro-Mendoza CK, et al. SIDS Sudden Infant and Early Childhood Death: The Past, the Present and the Future. Adelaide (AU): University of Adelaide Press; 2018 May. Chapter 13
5) Rachel Y Moon, et al. Pediatrics. 2022 Jul 1;150(1):e2022057990.
6) Tatiana M Anderson, et al. Pediatrics. 2019 Apr;143(4):e20183325.
7) Carri Cottengim, et al. Matern Child Health J. 2020 Feb;24(2):222–228.