肩甲難産とは、児頭娩出後に胎児の肩甲が娩出されない状態を指します。典型的な徴候として「タートルサイン」、すなわち児の顔や頭が会陰に引っ込む現象が見られることがあります。診断・定義として
・児頭娩出から体幹娩出までに時間が60秒以上(5分以上経過すると児のアシドーシスのリスクが高まる)
・娩出のために何らかの補助的な産科手技を必要とする
状況です。
昨日当院で主催した周産期救急の教育コースの”ALSO”(Advanced Life Support in Obstetrics)プログラムでは、肩甲難産の対応手順を教育するために、長年「HELPERR」という対処方法の語呂合わせが用いられてきました。
ALSO先駆けのアメリカで、2020年には「HELPER4」が導入され、最後の「R4」は肩甲難産解除のための複数の手技を含んでいます。
手技自体に変わりはないのですが、中でも後在の腕の娩出(Removal of the posterior arm)が最も有効な内診手技であることを示唆するデータによって、従来の「HELPERR」よりこの手技の重要性を強調されています。ただし、すべての症例で安全に実施できるわけではありません。
そのため、「HELPER4」では医師(および助産師)が状況を評価しながら、複数の手技の中から適切な方法を選択できるようになっています。
H: call for Help early
E: Evaluate and Explain
L: Leges(McRoberts法)
P: Pressure
E: Enter± Episiotomy
R4;
R1: Removal of the posterior arm
R2: Rotatory internal maneuvers(腟内手技)
R3: Roll the patient
R4: Repeat
後方腕娩出法が最も有効というエビデンスはあるが、それだけに固執せず、状況に応じて複数の解除法を選択することがHELPER4の目的なのです。
執筆 院長
